一つ屋根の下で暮らす夫婦にとって、「これからの家計」と「家事の分担」はぜひ二人できちんと話し合っておきたいですね。キャリアコンサルタントの斉田英子さんが、話し合いのコツを教えてくれます。
※本稿は、斉田英子『家族と話をしてますか?』(PHP研究所)より一部抜粋・編集したものです。
子どもたちは「父さんが作るカレーライス」が大好きに
私自身は息子を3人育てているので、これからの「男性」の働き方や生き方にはかなり関心があります。もっとも、大切なのは、男性や女性という枠を超えて、各個人がどう生きるかです。ですから、共働き夫婦のキャリアの「男女平等」にはまったくこだわりません。
話し合う中で意識しているのは、「得意/好き」「不得意/好きではない」軸と、「やってみたい/やっている」「やりたくない/やっていない」の軸です。
私が家事育児全般をマルチタスクでこなすスキルは、夫をはるかに上回ります。食事作りでは、短時間で何皿も準備することができますが、毎日作ってと言われたら、うんざりするのも事実です。作ってもらって食べる幸せは何とも格別。夫に時間があるときは遠慮なく食事作りをお願いします。子どもたちは父さんが作るカレーライスが大好きです。
また、私は、細々とした作業や、家電の修理、説明書を読みながらの組み立て作業は不得意で好きではありません。最近は夫ばかりでなく、得意な長男にもお願いしています。
もちろん、お互いが不得意で、好きではない、という部分は、外注するという考えがあります。不得意だけどやってみると嫌いではないという作業もあるかもしれませんね。
お互いの家事の得意・不得意や、「やりたいこと」「やりたくないこと」を見える化したら、家事の分担もうまくいくのではないでしょうか。
「夫の収入が妻より多くあってほしい」と思うのはなぜ?
キャリア、つまり生活そのものの話をするのに、お金の話は避けて通れません。
夫婦の収入額が、[夫>妻]であるべき、そうあってほしい、そうでないと嫌だという気持ちはありませんか。もしそういう気持ちがあれば、それも夫婦で話してみてくださいね。なぜそう思うのかと。
休職、離職、転職、さまざまな変化が想定される中、夫婦のお互いの収入の高低を気にしていても仕方ありません。お互いがお互いのサポーターとしてできることをする、その中で家族の幸せが最大化すればいいと思うのです。
夫婦でお金の話をしっかりできれば、子どもたちにもその大切さを伝えることができます。私たちは子どもの頃からお金のことを学ぶ必要があるにもかかわらず、学ぶ機会はほとんどありません。
夫婦でも時期を逃さず、一つずつ整理し、話し合いましょう。
A「この前、はじめてファイナンシャルプランナーの相談を受けたね」
B「金融に詳しい友人の紹介で独立系ファイナンシャルプランナー(FP)に出会えてよかったよ。中立的、客観的にアドバイスをもらえたと思う」
A「結婚前からの保険でそのまま手つかずのものもあったね。二人の預貯金額をしっかり見て話す時間は取ってなかったね」
B「給料から天引きされている保険料のことも改めて理解しなくてはと入でカバーできれば、無理に保険に入らなくていいわけで。
でも、自分が寝たきりの状態になるとか、長期で仕事ができなくなるリスクまで考えたことはなかったな」
A「そうね。それから、たとえば住むまちによっても子どもの医療助成制度が違うね。公立中学校では学校給食の有無もあるし、校区によってクラス規模もだいぶ違うみたい」
B「深く考えてこなかったけど、どこに住むかの選択も大事だな。子どもが大きくなったら今のマンションから戸建てへの転居もあり得るよね。マイホームを考えるならどこに建てるといいだろうって考え始めても早過ぎるってことはないね」
A「何より、FP 相談に行く前に、どんな生活がしたいかのシートに一緒に書き込んだのも良かったね」
B「そう。マイカーの買い替えはいつとか、家は所有か賃貸か、今後の出産予定も。子どもの教育費の負担が重くなるのは大学進学時。理系か文系か、実家から通うか一人暮らしか。幼稚園から大学まですべて国公立で1000万超、すべて私立で大学が文系だと2500万〜3000万円との試算には正直、びっくりした。子どもが私立中学に行くなら3年間でざっと300万は……」
A「お金がかかるね。家族旅行はいつも思いつきで行ってたけど、これからは予算を立てて計画的にしよう」
B「そうだね。今はお金に困っているわけではないから何となく大丈夫と思っていたけれど。支出を見直したり、できることもあるね」
A「お金の運用については、改めて相談に行こう」
B「これからの時代は、働き方もどんどん変わるだろうね。転職や副業の話も周りで聞くよ。お互いがやりたいことを実現できるよう、家族皆が健康で笑顔でいることが一番」
A「子どもの成長とともに出費も変化するし、想定外のことも当然あるだろうから、家族での話し合いが本当に大事だね」