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教習生がトイレ掃除 !? ―自動車教習所 Mランド“大繁盛”の秘密



2012年03月14日 公開

小河二郎(Mランド益田校会長)

《『 PHP Business Review 松下幸之助塾』2012年3・4月号より》
 

運転技術はもちろん“心”を磨いてほしい 

島根県に、社員というよりむしろ、顧客の立場の人に掃除をお願いしている企業がある。滞在(合宿)型自動車教習所の先駆け的存在として、全国から教習生を集めるMランド益田校(益田ドライビングスクール=MDS)である。
独自通貨「Mマネー」の流通など、「Mマジック」と呼ばれる独自の経営戦略を駆使するが、その1つが、教習生自身による掃除である。少子化・過疎化という自動車教習所にとって逆風の中、業績を伸ばしているのはなぜか。その秘密を探った。
 

若者を変える教習所

Mランド益田校に来ると、“ゲスト”(Mランドでは教習生をこう呼ぶ)、とくに若者たちが「変わる」という。なぜ免許取得のための自動車教習所が「人を変える」ことができるのか。しかも期間は短い人でたったの15日間。

Mランドのさまざま取り組みは「Mマジック」と呼ばれ、全国各地の自動車教習所はもとより、一般企業や行政からも視察が絶えないという。「若者を変える教習所」とはいったいどんな教習所なのか、一度この目で見てやろうということかもしれない。

「Mランド」という名前には、「MDSのランド(土地)」であるというより、「心(Mental)を学ぶランド」という意味をこめているという。ちなみに「MDS」も、「Masuda Driving School」に「Mental Design School」をかけているそうだ。

合宿滞在中、教習生たちは自動車や二輪車の教習だけではなく、さまざまな体験をすることが可能だ。大縄跳び大会やバーベキューといった娯楽性の強いものから、茶道やゴルフ、ネイルアートに岩盤浴と、およそ自動車免許取得には関係なさそうなものも体験できる。

閉鎖空間での合宿免許なのだから、退屈させないように娯楽を用意するのは当然だろう、と単純に思うなかれ。一番人気が、トイレ清掃と校内清掃などのボランティア活動なのである。

「ゲストたちは、短い時間ではありますが、さまざまな活動を体験する中でたくさんの友だちをつくり、温かい心、思いやりの心を学びます。そして卒業するときには、今までとちょっと変わった自分を実感することができます」と話すのは、創業者でありオーナーの小河(こがわ)二郎会長である。1923(大正12)年生まれというから今年で 89歳になる。

Mランドは島根県益田市、日本海を目の前に臨む中国山地を背にした雄大な自然の中にある。20万平方メートルの敷地には、教習コースをはじめ、遠方から来る人のための宿泊施設(11棟)や娯楽施設などが備えられている。

教習用車両は180台を備え、普通車から自動二輪、大型、特殊車輌など全車種の運転免許取得に対応している。ゲストを指導するインストラクターは常時85名、繁忙期には100名を超える。

Mランドでは、教習を行う指導員を「教官」や「先生」ではなく、「インストラクター」と呼ぶ。教習生は「生徒」ではなく「ゲスト」だ。

単なる呼び方の問題ではない。

「インストラクターの仕事は、ゲストに公道を安全に走る能力を身につけてもらうお手伝いをすることであり、けっして偉い存在ではありません。私たちはお金を払っていただく立場ですから、ゲストは当然、お客様なのです。それに、お客様から教えていただくことも多く、ゲストこそ先生ですから」

小河会長はそう教えてくれた。こうした学びあう環境づくりにこそ、Mランドが人間形成を実現している秘密が隠されているのだ。

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