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読了後、最初に浮かんだ人を...作家・青山美智子さんが描く「愛の本質」とは

青山美智子(作家)

2022年05月01日 公開

 

想像力や言霊が「願う人生」を引き寄せる

私が今作を書くうえで意識した「二人」は、「一対」「一組」であることが意識された「ペア」。

だから、片方だけが思っていてもペアとは言えないんですね。お互いの気持ちの総量が一致していないとダメで、さらに相手への尊敬や思いやりも必要。

男女に限らず、親子だったり友達同士だったり、いろいろな組み合わせがありますが、そういう相手ってなかなか得難いから大事にしたいし、自分にとっての「二人」を意識することで人生は豊かになっていくと思っています。

先ほど、相手に対する尊敬や思いやりが必要だと言いましたが、思いやりは言い換えれば想像力です。

私は人生を悔いなく生きるためには、この想像力、イメージする力こそが大事だと考えています。人は9割想像で生きているのでは、と思っているくらい。

たとえば同じ出来事に対して、「よいこと」と捉える人もいれば、「悪いこと」と捉える人もいますよね。

悪く捉えれば、その人にとっては「悪いこと」が真実になります。だったら私は、よいイメージで世の中を見ていたいんです。

実際、思っていたことが現実になる体験をしていて、言霊も信じている。そうだと信じているというより、そうであると知っている、という感じです。

特に作家になってから言霊やイメージによる引き寄せは頻繁なので、より気を付けるようになりました。

そうは言っても、基本ネガティブで朝起きると絶望から始まるし(笑)、悪いイメージもしょっちゅう浮かびます。

そんなときは、会いたい人のことや楽しいことを想像してよいイメージで上書きするようにしているんです。そうすると想像したことが早めにやってくるというミラクルも。

これは自分とうまくつきあうための私なりの方法でもあります。

 

相手にゆだね、少しずつ積み重ねていく

大切な人と関係を続けるためには思いやりはもちろんですが、距離感も大事だと思っています。

特に家族は近しいだけに思い通りに動かそうとしてしまいがちなので、そうしないように自分を戒めていますね。LINEの返信一つでも、大体が望んでいるタイミングでは返ってきませんから。

相手にゆだねて、そのうえで自分が願っていたことをしてもらえたら嬉しいし、そうやって人間関係って育っていくのでは、と思います。

今、高校3年生(取材当時)になった息子との関係もそうです。過度に干渉はせず、朝、起きてきたら顔を見て「元気、泣いてない、OK!」と確認するだけ。

もし息子が話しかけてきたら、どんなに忙しくても手を止めて顔を見て話を聞く、と決めています。アドバイスはできないけれど、「かーちゃんはどんなときでも話を聞いてくれる」という信頼関係さえできていたらいいかなと。

あ、これは夫が話しかけてきたときの対応とは違いますね(笑)。

私はこれまで小説を書いてきて、読んで「こんなふうに感じてほしい」などと思ったことがありません。だけど今作は、読み終わったときに最初に浮かんだ人を、大切にしてほしい。

私にも「二人」の物語を書き終えて、最初に浮かんだ人がいました。悔しいことに夫でした。

 

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