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近く年収アップの期待大!「DX市場で必要とされる7つの職種」

日淺光博(株式会社日淺CEO)

2022年05月06日 公開

 

「エンジニアだけじゃない」7つのDX人材

じつは、さきほどご紹介した3つのフェーズごとに求められる人材や役割は異なります。おもに7つの人材像に分けられるので、くわしく見ていきましょう。

【1.ビジネスプロデューサー】
DXプロジェクトの全体を統括する立場で、社内においてはDXプロジェクトの責任者となることがほとんどです。経営陣が担う場合もあれば、経営企画部門や戦略部門の責任者が担うこともあるポジションです。

ビジネスプロデューサーに求められるのは、ビジネスを円滑に進めるためのビジネススキルです。自社のビジネスモデルを深く理解して、どこに強みがあり、どこに課題を抱えているかをいち早く把握しなくてはなりません。

そこにデジタルを掛け合わせることで、どのような効果が生まれるかを考えるのが次の段階です。ビジネスプロデューサーに求められるのは、高い次元で両立したデジタルとビジネスの知識なのです。

【2.ビジネスディレクター】
具体的にDXプロジェクトを推進していくのが、ビジネスディレクターの仕事です。プロデューサーが全体の概念的な部分や組織づくりに強い権限を持っているとすれば、このポジションには計画を具体的にする役割があります。

社内業務の改善プロジェクトであれば社員の現状にヒアリングを行い、どのような改善が適切なのかを把握していくことが求められます。新規事業なら市場調査をし、顧客の課題を汲み取り、予算化してプロジェクトを進めなくてはいけません。

DXプロジェクトにおいて最も関わるステークホルダーが多くなるポジションでもあるので、忍耐力と高いコミュニケーション力が求められます。

【3.アーキテクチャ】
アーキテクチャは、言い換えれば、設計士、建築業界で言えば、建築士の立場になります。プロデューサーやビジネスデザイナーが考えた企画を「DXやデジタルの視点から具体的な設計に落とし込む」仕事です。

企画案ができ上がった段階では、エンジニアなどの手を動かす人材が何をどう進めていくかは明確ではありませんし、それを都度それぞれの役割と話し合っていると時間がいくらあっても足りません。

アーキテクチャは、手を動かす人たちを一元的に管理する立場を担います。手を動かす役割の人たちとビジネスを進める人たちを結びつける必要があるので、ビジネスとデジタルの理解の両方が備わっており、かつコミュニケーション力も求められます。

【4.データサイエンティスト】
DXの話によく出てくる人材です。IoTやAIから収集したビックデータを活用するために必要な職業と言われていますが、いま一つよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

彼らのおもな役割は、データが大量にあっても社内の人はどう活用していいかわからない状況から、社内の人が日常業務で使えるデータにすることです。

あくまで数字がベースになりますが、それだけではなくデータを活かしたビジネスに役立つ示唆を求められますし、分析ツールを活用するためのビジネススキルも求められます。

【5.UX・UIデザイナー】
彼らの役割は、システムを使うユーザーができるだけ負担なく利用できるよう考えることです。UXとはユーザーエクスペリエンスの略で、使い勝手がいい、わかりやすい、楽しいなどユーザー体験を向上させることが求められます。せっかくデジタル化で旧来の業務を効率化したのに「使い勝手が悪くわかりにくい」といった不満が出るのは、じつはよくある話です。現場の社員から「エクセルで管理している方が楽だった」などと言われたら、DXを進める意味が失われてしまいます。

彼らは、ユーザーの立場でのデザイン力も求められます。また新規事業などでは、スマホやタブレットなどさまざまなデバイスで利用されることも想定し、ユーザーの行動が思ったとおりになることへの想像力や検証力も必要です。

【6.エンジニア】
経済産業省の発表では、2025年にエンジニアが43万人足りなくなると言われています。あと3年ありますから、確実に不足が見込まれるエンジニアになるというのも1つの方法です。エンジニアに求められるのは、開発プロジェクトをまとめつつ要件を定義し実装していくことを第一として、予算感によってはSaaS利用やローコードツールなどの使用も求められます。

※「SaaS」とは「Software as a Service」の略で、パソコンにインストールせずにインターネット経由で利用できるサービスのこと(Freee,chatwork等)

これまで培ったエンジニアとしての構築スキルだけではなく、進化するIT業界に対しての一定の知識も必要になる職業です。

【7.カスタマーサクセス】
おもに新規事業において注目されているのが「利用するユーザーに長く快適に使ってもらうための役割」があるカスタマーサクセスです。これまでカスタマーセンター業務などはありましたが、そこから一歩踏み込んだ形の役割を担います。

これまでのカスタマーセンターは、ユーザーのお問い合わせに対応するだけの部署でしたが、カスタマーサクセスの部署では、ユーザーがより利便性が高まるように能動的に動いていくことを求められます。

次々と新しい製品が出てくるDX界隈において、ユーザーをいかに自社のサービスにとどめていくかが重要です。これらを遂行していく部門がカスタマーサクセスなのです。

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DX人材の必要性は増すばかり

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