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一緒にいるのに寂しいのはなぜ? お坊さんYouTuberが説く「孤独との付き合い方」

大愚元勝(住職・株式会社慈光マネジメント代表取締役)

2022年05月11日 公開 2022年06月06日 更新

 

仏教の教えにみる「友を作るヒント」

<お悩み4>新しい環境(就職や結婚に伴う転居など)で、身近に頼れる人や知り合いがいなくて不安です。

仏教の教えには、友を作るヒントがあります。それは、「自分から与える」ことです。モノや時間、言葉、現在の状況ではむずかしいですが優しい抱擁など、どんなものでもいい。とにかく自分から相手に思いやりの気持ちを持つ、困っている人がいたら自分の持っているものを差し出す...という在り方をしていれば、自然と周りに人が集まってくるものなのです。

自分が与えてもらうことばかり考えていたら、友はできません。とくに未知の場所では知らないことばかりで、周りの人から情報や知識をいただきながら過ごす毎日でしょう。

そこでいただきっぱなしにせず、自分が与えられるものは何だろうと考えて、できることから取り組んでみてください。まずは、挨拶から始めてみませんか。近所の方と顔を合わせたら、「こんにちは」と朗らかに声をかける。周囲の人たちとの距離がぐっと近くなるはずです。

 

「心に穴が空いた虚しさ」は集中できていない証

<お悩み5>たまに、心にぽっかり穴が空いたような虚しさを感じます。

ひとりのさみしさを埋め合わせるために誰かと関わろうとしたり、何かをしたりしていませんか?志や目的に向かって「犀の角のごとく」突き進んでいれば、充実感のある日々が過ごせ、目的が果たせた日には大きな達成感が得られます。

厳しいことを言いますが、「心に穴が空いた」ように感じるのは、自分が今なすべきことに集中できていない証拠です。人は誰でも、役割を持っています。よく「こんな私にも?」と言う人がいますが、そんなあなたにも役割があります。

家庭なら親、あるいは子として、職場ではもっとわかりやすい役割がありますね。もちろんパートやアルバイト先でも、自分に与えられた役割があるでしょう。その役割をまっとうすることが、「自分が今なすべきこと」です。孤高に、今なすべきことに集中している人は魅力的で、誰も放ってはおかないでしょう。よき友に囲まれ、虚しさの入り込む隙はありません。

 

「思いやり」が新しい縁を結ぶ

<お悩み6>大人になるにつれて友だちが減っていき、新しい友だちができづらいです。

子どもの頃は、学校に行けば何十人というクラスメイトがいて、進学すればまた新たな出会いに恵まれました。しかし大人になると、職場以外の人と知り合う機会も減りますし、そもそも人と会わない仕事もあります。ですから、歳を重ねるごとに人間関係が狭くなり、新しい友ができにくくなるのは当然なのです。

だからこそ、まずは今ある人間関係を大切にして、うわべだけでない濃い関係を築くことが重要です。数は少なくても、そうやって得られた友とは一生のおつき合いになるでしょう。さらに、友を限られた場所だけで求めないことです。仏教では、「慈悲」の心を大切に考えます。

慈悲とは、自分が出会う生きとし生けるものすべてに、等しく思いやりを持つということです。スーパー、銀行、歯科医院...どこでも、出会う人に慈悲の心で接するようにする。出会いの芽はあらゆるところから育っていくものです。

 

【プロフィール】
大愚元勝(たいぐ・げんしょう)

YouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」が登録者数45万人を超える(2022年5月現在)人気和尚。厳しい師匠やしきたりに反発して寺を飛び出すも、会社経営や人材育成などを通じてあらためてブッダの教えの重要性に目覚め、福厳寺住職となる。著書に『ひとりの「さみしさ」とうまくやる本』(興陽館)などがある。

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