新生活で疲れた人へ...仏教の「日々是好日経」が教えてくれること
2022年05月27日 公開 2022年06月06日 更新
心を落ち着ける「日々是好日経」
「日々是好日(にちにちこれこうじつ)」と言う言葉を聞いたことがあると思います。この言葉は、仏教の「日々是好日(にちにちこれこうじつ)経」というお経に由来しています。
「日々是好日経」は、パーリ語でBhaddekaratta-sutta(バッデーカラッタ -スッタ)と言います。Bhadda(バッダ)は、「この上なくよい」という意味です。今風に言えば、「めっちゃいい!」「ヤバい!」といったニュアンスです。
Ekaratta(エーカラッタ)は、「一日」。sutta(スッタ)は「経」です。
このお経には、心をしなやかに、強かに保つための、コツが書いてあります。どんな日がやって来ようとも、その日夜、眠りにつく前に、「今日はとてもよい日だった」と言えるように生きるための、心得が書いてあります。
ぜひ心穏やかならぬときには、このお経を声に出して読んでみてください。
「日々是好日経」
過去を追うな 未来を願うな
過去はすでに過ぎ去ったもの 未来は未だ来ないもの
現存している現象を その場その場で観察し
揺らぐことなく動じることなく 智慧者はそれを修めるがよい
今日こそ努め励むべき 誰が明日の死を知ろう
されば死の大軍に 我ら煩う(わずらう)ことはなし
いたずらに明日を妄想して、期待と不安といった「感情」に翻弄されて疲弊するのではなく、「その日、その時、その都度、何が起きても自分ができるベストを尽くす」そう覚悟して新たな日々に向かうこと。
それが、ブッダが教えた、「日々是好日」に生きるための秘訣なのです。
【大愚元勝(たいぐげんしょう)】
佛心宗 大叢山 福厳寺住職。株式会社慈光マネジメント代表取締役。慈光グループ会長。僧名「大愚」は、大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意。駒澤大学、曹洞宗大本山総持寺を経て、愛知学院大学大学院にて文学修士を取得。僧侶、事業家、作家・講演家、セラピスト、空手家と5つの顔を持ち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。
HPにて「お悩み相談」を受け付けているほか、YouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」で国内外から寄せられた相談にも対応する。著書『苦しみの手放し方』(ダイヤモンド社)、『最後にあなたを救う禅語』(扶桑社)、『人生が確実に変わる 大愚和尚の答え』(飛鳥新社)など。