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馳浩を流血させ大ブーイング...武藤敬司が振り返る「グレート・ムタ覚醒の真相」

武藤敬司(プロレスラー)

2022年05月23日 公開 2022年05月23日 更新

 

引田天功のイリュージョンとコラボ

1991年9月30日には横浜アリーナで、藤波辰爾さんとも試合をした。当時の新日本のトップどころとのシングルマッチは、これが初めてということになるな。

この試合の入場シーンも話題になった。有名なマジシャンの引田天功さんのイリュージョンで入場したんだよ。いつだったか藤波さんとトークショーをやった時に、この試合の話になったんだ。

藤波さんは「あれは大変だったよね」なんて言っていたけど、マジックのタネは言わない約束になっていたから、藤波さんが喋りそうになって焦ったよ。

ところで、俺はこの大会に女房の両親を初めて招待したんだ。まだ結婚前で、女房が俺を両親に紹介したがっていたからね。ただ、最初に見せたのがムタだったのは失敗だったな。

この日のムタは、ひどいことをしたからね。ゴングやジュラルミンケースで藤波さんをぶん殴って、挙句の果てにはビール瓶で頭をかち割っているからさ。あれで藤波さんを大流血させちまった。

昔はなぜかリングサイドに水の入ったビール瓶が置いてあってね。あれで水分補給したりするんだけど、みんなが口を付けているから汚ねえよな。

そのビール瓶で藤波さんの頭を殴ったもんだから、女房の両親が驚いてね。「あんな悪い奴にウチの娘はやれない!」なんて言われちまった。まあ、結果的には結婚できたわけだけど、向こうの両親の怒りを収めるのに大変だったよ。

ただ、改めて映像を見たけど、当時のムタはヒールのやり方が若いな。かなり荒っぽいことをしているけど、ギリギリの試合だった。

昔の新日本の客って、ヒールには厳しかったんだ。もう少し前の時代だと、暴動になりかねないような試合内容だよ。この頃も一歩間違えると、まだ客が暴動に起こしそうな気配は残っていたしさ。

付け加えると、藤波vsムタ戦は横浜アリーナのメインイベントだった。この年の夏の『第1回G1クライマックス』で蝶野正洋が優勝して、闘魂三銃士がメインイベンターになり始めた頃だよ。

当時はそんなに意識はしていなかったけど、その位置に近づきつつあるという実感はあったかもしれないな。

 

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