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「不妊治療の保険適用」で懸念も? 生殖医療専門医が教えるクリニック選び

坂口健一郎(生殖医療専門医)、吉澤恵理(医療ジャーナリスト)

2022年06月29日 公開 2022年07月05日 更新

 

高齢出産を否定しない

「仕事と妊娠・出産のどちらを優先すべきかで悩む女性は多く、一般に35歳をすぎると妊娠しにくいと言われるため、『20代は仕事に集中して、30代になったら妊活しよう』とライフプランを立てている方も少なくありません、しかし、妊娠のしやすさは必ずしも年齢とイコールではなく、個人差があります」

「50代で出産した」などというニュースは高齢出産を望む女性にとっては希望となり、坂口医師の下にも40代、50代で不妊治療に訪れる女性も少なくない。

「私は、高齢出産を否定はしませんが、年齢を重ねると共に妊娠する確率も低くなることは事実です。女性は月経周期ごとに排卵をしますが、排卵するその卵子の元となる卵母細胞は一生で200万個と決まっています。

そして月経のたびにその卵母細胞は1000個消費され、最終的にはなくなってしまいます。1人の女性が排卵する回数には限りがあり、40-50代になると妊娠が難しくなります」

坂口医師は、そういった場合、患者の話を十分に聞いた上で高齢出産の難しさや出産に伴うリスクについても説明するという。

「中には、利益重視の心ないクリニックで言われるがままに不妊治療を続け、ゴールが見えなくなり、私に相談に来る方もいらっしゃいます。私は、高齢出産となる不妊症治療では、必ず後ろ(治療を止める時期)を決めてもらい、治療を開始しています」

人によって不妊の原因は様々であり、その原因がはっきりしない場合もある。一人ひとりにあった治療方法を行うことが妊娠への近道だという。

「インターネットやメディアでは、妊活に関するあらゆる情報が発信されていますが、ある人が成功した方法を別の人が真似して妊娠できるわけではありません。

生殖医療専門医として患者さんが不妊、妊娠について正しく理解し、私の元を訪れる子供を授かりたいと願うカップルの皆さんが、1人でも多くの方の期待に応えることができるよう努めていきます」

【吉澤恵理(よしざわ・えり/薬剤師、医療ジャーナリスト】
1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業(現、東北医科薬科大学)。薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

 

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