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生き方

人生経験が「共感力を高める」脳科学的な根拠

深井龍之介(COTEN代表)、野村高文(音声プロデューサー)

2022年07月25日 公開 2024年12月16日 更新

 

体をいい状態に保つサイン

【深井】要するに、僕たちが生きるこの世界は、何ごとも脳の推論によって作られているということですね。乾先生のお話を聞くまで、目に見たものはすべてそのように存在する、と思っていました。僕の感覚は「カント以前」だったんだ……。

しかも、感情もそうなんですよね。感情の正体は、体の状態を脳が推論していることだったとは。

【乾】そして他者の感情を理解するには、頭で考えるのではなく、自他を同一視するミラーシステムによって理解する。それによって共感が生まれるのです。

【野村】だから、自分自身にさまざまな引き出しがないと、相手に共感しづらいのですね。

【乾】物理学には共鳴という現象がありますが、共鳴する2つの物は線など、何かしら物理的につながっています。私たち人間同士が、つながっていないのに共感できるのは、ミラーシステムが電線の代わりをしているからではないでしょうか。

つまりミラーシステムは、コミュニケーションを成立させる社会の絆だといっても過言ではありません。

【深井】そうですね。ただ頭で考えて感情を再現するのではなくて、脳から見ると、人間の共感は身体的なものから生まれるということですよね。今回は、体のサインを鋭敏に受け取ることの大切さを学びました。

体を良い状態に保つのが理想的ですが、たとえ悪い状態であってもサインをきちんと受け取れば、ストレスを少しは軽減できて生きやすくなりそうです。

 

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