なぜ店員に怒鳴るのか? 「いつも不機嫌な人」に欠けている大切な感情
2022年07月19日 公開 2022年08月01日 更新
精神科医の和田秀樹氏は、いつも不機嫌な人は、自己愛が欠如しているからだと指摘します。それは何故なのか? また、どうすれば自分を愛する気持ちを育てることが出来るのでしょうか。日々を機嫌よく過ごすためのテクニックを紹介します。
※本稿は、和田秀樹著『感情的にならない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を一部抜粋・編集したものです。
駅員や店員を怒鳴りつける人が求めているもの
現代アメリカの精神分析学にもっとも影響を与えたとされる精神科医のコフートは、「人は自己愛が満たされていないときに不機嫌になる」と言いました。
とくに子どものころに親から愛情を注がれた経験に乏しい人、家族や友人から相手にされていない人、仕事でうまくいっていない人などは、自己愛が満たされていません。満たされていない人は生活の中でちょっとした問題に直面すると、たちまち不機嫌になります。
たとえば、少し電車の到着が遅れただけで駅員に食ってかかったり、レストランで少し料理の提供が遅れただけでウエイターに怒鳴り散らしたりするような行動を取るのです。
駅員やウエイターを怒鳴りつける行為は、「お客である私のほうが一段上の立場にいるのだ」と主張しているのと同じ。
相手が「申し訳ありません」と謝れば、「やっぱり自分のほうが偉い」と認識でき、自己愛も満たされるわけです。
しかし不機嫌になることで自己愛を満たそうとするのはリスクの高い行為です。相手を不愉快にさせ、逆に攻撃を受けたり、周囲の人から非難の対象になったりするからです。
お金や友人の多さが自己愛を満たすわけでもない
では、経済的な不安もなく、仕事や趣味にも楽しく取り組み、人間関係にも恵まれている人はどうでしょう。
こういう人は、自己愛に満たされており、経済的にも精神的にも余裕があるので、日常的にあまり不機嫌になりません。
電車が遅れても、料理の提供が遅くても「まあ、そういうこともある」と受け止めて、何事もなかったかのように過ごすことができるのです。
「年収○○万円以上ある」「友人が○○人以上いる」など、満たされるための客観的な基準があるわけではありません。お金持ちでも、常に友人たちに囲まれている人でも満たされていない人はたくさんいます。
重要なポイントは、自分が置かれた環境の中で「満たされている」という実感を持つことができているかどうかです。
まずは、生活面や人間関係面で満たされていると感じている人と、満たされていないと感じている人の大きな違いを理解しておきましょう。