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いつまでも「手が老けない人」が実践する食習慣

阿保義久(外科専門医・脈管専門医、北青山Dクリニック院長)

2022年08月04日 公開 2022年08月24日 更新

 

女性ホルモンのバランス整える「大豆食品」

30歳を超えた頃から女性ホルモンのバランスが変化します

いわゆる女性ホルモンと呼ばれるものには、エストロゲンとプロゲステロンの2つがありますが、エストロゲンは静脈の壁や手の皮膚の弾力を生み出しているコラーゲンの合成を促す働きがあります。

一方、プロゲステロンは、妊娠の成立や維持に欠かせないホルモンで、血管の拡張を促す働きがあります。

ところが、30代頃からエストロゲンは減少しはじめ、閉経を境に激減するため、両者のバランスが大きく変化します。その結果、皮膚のハリが失われて血管が浮き出てくると同時に、静脈が拡張しやすい状態になります。

そこで、豆腐や納豆の常食することでエストロゲンの減少を抑えます。

大豆には、エストロゲンと分子構造が似ている「大豆イソフラボン」という成分が豊富に含まれています。

大豆イソフラボンは、植物性エストロゲンとも呼ばれ、体の中に入るとエストロゲンに似た作用をすることが知られています。そのため、30歳以上の女性は、大豆を食べることでエストロゲンの減少をある程度カバーできると期待されています。

大豆イソフラボンは、大豆のほか、きな粉や豆腐、おから、油揚げ、納豆、みそ、豆乳など、大豆を加工してつくったほとんどの食品に含まれています。

エストロゲンは作用が強いので、注射などで外部から投与すると副作用が生じるリスクが高いのですが、エストロゲン様の作用を持つ大豆イソフラボンを豊富に含んだ大豆や大豆の加工食品を食べる分には、「心配する必要はありません」と厚生労働省の資料にも記載されています。

大豆イソフラボンの豊富な食品は、日本の食卓ではお馴染みのものばかりです。おいしく食べて、いつまでも健康的な肌を保ちたいものです。

 

「塩分」の摂りすぎは美容の天敵!薄味に慣れよう

塩分の多い食事を摂ると、のどが渇きます。これは血液中で過量となった塩分を薄めるため、体が水分を求めているサインです。

外部から水分を補う一方で、汗や尿の量を減らし、体内から水分が出ていくのを抑えます。その結果、血液中の水分が増えて血液量が増大し、中心の深部静脈内の圧力が増し、手足の静脈の内圧も上がります。

塩分の多い食事をたまに摂る程度であれば、静脈圧の上昇は一時的なもので済みますが、日常的に塩分濃度の高い食生活を送っていると、静脈圧が上昇した状態が続き、静脈壁を外に広げる力がかかって、静脈が拡張していきます。

また、塩分の摂りすぎは、動脈の血圧上昇にもつながりますから、高血圧に伴う危険な合併症も起こりやすくなります。

その予防として、普段から自分で調理して薄味に慣れることが基本です。

日本では、以前にくらべると減塩に対する意識が高まっていますが、それでも日本人の塩分摂取量は、世界的に見ると際立って多い状況です。

WHO(世界保健機関)は、塩分摂取目標を一律1日5グラムとしていますが、厚生労働省が推奨している1日の食塩摂取量の目安は、成人男性が8グラム未満、成人女性が7グラム未満で、目安量がすでに世界標準を超えています。

しかも、国民栄養調査の結果を見ると、2017年の成人日本人の食塩摂取量は男性10.8グラム、女性9.1グラムで、男女とも目安量を大幅に超過しています。

しょう油やみそなど、伝統的に使われてきた調味料の塩分濃度が高いうえ、加工食品や出来合いの惣菜を食べる機会が多いことも、減塩を難しくしています。

塩分の摂取量を減らすには、スパイスや香味野菜、酢、だしの旨みなどを上手に活用しながら、少しずつ薄味に慣れていくのがコツです。

スパイスや香味野菜は、静脈を元気にする効果のあるものが多いので、本章で紹介した食材を参考にして、おいしい減塩を実践してみてください。

 

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