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生き方

相槌の苦手な人がやりがちな「なるほど」の多用

五百田達成(作家/心理カウンセラー)

2022年08月08日 公開 2023年01月11日 更新

 

悩み相談を「よくあること」と片付ける人

「...というわけで、本当にどうしたらいいかわからなくて。つらいんだよね」
「なるほどね。でもさ、そんなことはよくあることだよ。俺だってさ...」

グチを言ったり、悩みを相談したりする人は「共感」を求めています。共感してもらうことで少しでも癒やされたいと願っています。

ところが、親身になって相談を受けているつもりで、相手を疲れさせてしまうのがこの話し方です。つまり、「そんなのよくあること」という慰め方は、損をします。

せっかく自分にとって大変なことを話しているのに、「仕事ってそういうもんだよ」「家庭ってそういうもんだよ」「そんな悩みはよくあることだよ」などと簡単に片づけられて、いい気持ちになる人はいません。

おまけに「俺だって...」と話題を取られようものなら、「もう相談したくない」と思ってしまいます。

 

悩み相談でやってはいけない2つのこと

悩み相談を受けるときの鉄則を2つあげておきます。まず、アドバイスしない。これは先ほどの「よくあることだよ」と関連します。

よく見かける「おばちゃんの人生相談」は「結婚なんてそんなものよ。私だってね、最初の離婚のときは...」と自分の経験だけをもとにしたアドバイスに流れがちです。

言われたほうは「あなたに何がわかるの?」とカチンときてしまうでしょう。極端ではありますが、いっそのこと「アドバイスは絶対にしない」と決めてしまうことをおすすめします。

大切なのは「どうだろうねえ」「どうしたいの?」と一緒に考える姿勢を見せること。対面で向かい合うのではなく、一緒に同じ方向を見ること。その姿勢が大切です。

そして、相手がすべて話し終わるまで、自分の話やアドバイスはしない。ちょっと相手の話を聞いてはすぐに自分の話をする人がいますが、たいていの場合、タイミングが早すぎるのです。

自分の話をするのであれば、じっくりと「もう話すことがない」というくらいに話を聞いてあげたあとにしましょう。

鉄則のもうひとつは「問いたださない」ことです。たとえば、
「フラれちゃってさあ」「なんでフラれたの?」、
「街中で突然絡まれた」「いつ? どんな人?」といった詰問口調は禁物です。

相手が気持ちを表現するのに精一杯なのに、ついつい自分の好奇心を優先してしまうのがこの聞き方。相手にしてみれば「理由なんてどうでもいいだろ」「とにかく怖かったっていう話をしたいのに」と、話の腰を折られた気分になってしまいます。

悩み相談についてよく言われることで、「たいていの場合、答えは相談する人のなかですでに決まっている」ということがあります。カウンセリングの現場でも、実際そう感じることはよくあります。

最終的に相手が「まあ、目の前のことをひとつひとつやっていくしかないって、わかっているんですけどね」と自分で話し出す、そのための手助けこそが「究極の悩み相談」と言えるでしょう。アドバイスしない。問いたださない。「得」する話し方の鉄則です。

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