1. PHPオンライン
  2. くらし
  3. 「どうしてもやる気が出ない人」が抱えている無気力感の正体

くらし

「どうしてもやる気が出ない人」が抱えている無気力感の正体

渋谷昌三(目白大学名誉教授)

2022年10月26日 公開

「どうしてもやる気が出ない人」が抱えている無気力感の正体

「何もしたくない」「何をしても、どうせうまくいくはずがない」と、無気力になったとき、どうすればいいのでしょうか。

目白大学名誉教授の渋谷昌三氏は、「できるだけ高い目標を掲げ、その目標を達成しようとする欲求。他自尊心を高めようとする欲求。この2つの欲求が高い人ほど、達成動機が高くやる気のある人と考えられる」といいます。

そこで、渋谷氏著「怖いくらい「本当の自分」がわかる心理テスト」(PHP文庫)の中から、自分の状態をチェックする簡単な心理テストと、無気力状態から脱出する方法をご紹介します。

※ 本稿は、『怖いくらい「本当の自分」がわかる心理テスト』(PHP文庫)より、内容の一部を抜粋・編集したものです。

 

15の項目に応えて"心の状態"をチェック

以下の質問の中から、あなた自身にあてはまる項目を数えてください。

□ 他人がむずかしいと考えている仕事に挑戦したい
□ 将来、専門家として成功したい
□ 自分がはじめたことは、なんとしても成功したい
□ 経済的に余裕のある人と友達になりたい
□ 自分がやったことについての他人の評価を知りたい
□ 失敗したときには、自分の努力が足りないせいだと思う
□ 豪華客船で世界一周旅行に出かけたい
□ 仕事仲間は、親しい人より、有能な人を選びたい
□ 友だちよりセンスがよいと言われたい
□ 能力の優れた友だちをできるだけたくさんつくりたい
□ グループのリーダーとして、多くの人から尊敬されたい
□ 他人がまねのできないユニークなことをしたい
□ プライドが傷つかないようにふるまいたい
□ 行き詰ったときには、手を尽くして、自力で解決したい
□ 何でも、他人よりうまくやりたい

【診断結果】
10項目以上の人 … 達成動機が高く、やる気のある人
6~9項目の人  … 人並み程度に達成動機のある人
5項目以上       … 達成動機が低く、やる気のない、無気力な人

この心理テストは、達成動機の高さをチェックするためのものでした。達成動機という言葉には、つぎの意味があります。

できるだけ高い目標を掲げ、さまざまな障害を克服し、自分の能力を充分発揮して、その目標を達成しようとする欲求。

他人との競争に勝って、自尊心を高めようとする欲求。この2つの欲求が高い人ほど、達成動機が高いと考えます。簡単に言えば、達成動機の高い人はやる気のある人ということになります。

達成動機にはどんな特徴があるのでしょうか。そして、達成動機を高めるには、どうしたらいいのでしょうか。

 

「やる気」は達成動機の高さで左右される?

精力的で、世話好きな活動家。いつも時間に追われている。承認欲求が強い。責任感が強く、攻撃的である。好奇心旺盛で、仕事も、趣味も一生懸命こなそうとする。

これは、タイプAと呼ばれる人の特徴(後述参照)です。タイプA人間は、成功をめざして、何事にも精いっぱいの努力をします。自分の力で、あらゆるものをコントロールすることができると考えているからです。

このような人が、「いくら努力しても、計画どおりの結果が出ない」という体験をしたとき、突然、やる気を失ったり、無力感を味わったりすることが報告されています。

どうがんばっても、自分の能力や努力だけではどうにもならないことがあります。運や偶然性に左右されるときもあります。タイプA人間は、こうした精神的な柔軟性を身につける必要があるわけです。

ところで、達成動機の高い人は、成功したとき、その原因を「自分に能力があったので~」と考えます。逆に、失敗したときには、「自分の努力が足りなかったので~」とか、「運が悪かったので~」と考えることがわかっています。

これに対して、達成動機の低い人は、成功したときには、「運がよかったので~」とか、「簡単な仕事だったので~」と、その原因が幸運や仕事の内容にあると考えます。逆に、失敗したときには、「自分に能力がないので~」と、その原因が自分自身の技量にあると考えがちであることがわかっています

つまり、達成動機の低い人は、失敗したとき、「自分には能力がないのだから、努力しても、結局だめなんだ」と考えてしまう。だから無気力になりやすいわけです。

さらに、達成動機の低い人は、成功した体験を低く見積もり、逆に、失敗した体験を過大に悪く評価する傾向があります。これが無気力に陥りやすいもうひとつの理由です。

また、達成動機の低い人は、失敗を厳しく叱責されると、自信を失ってしまい、無気力になる恐れがあります。そのような人は、たとえば、「以前、別の仕事をしたときにはすばらしい業績を上げることができた。今回は努力が足りなかったので、叱られるのは当然だ」と自己弁明したらどうでしょう。

心理テストで達成動機得点の低かった人は、周囲の人から「自分の実績や技量を自慢しない控えめな人」と信頼されます。しかし、もっと自分の能力や業績を高く評価して、自信をもって行動したらどうでしょう。そうすれば、周囲から「彼(彼女)に任せておけば大丈夫」と頼りにされるようになるはずです。

タイプAや達成動機の低い人に対しては、厳しい叱責は禁物と言えます。「他人から言われなくても、本人がいちばんよくわかっている」からです。むしろ、「運が悪かったね」とか「そのうちいいことあるよ」と諭すのがよさそうです。

次のページ
「何もしたくない」無気力状態からの脱出法

関連記事

アクセスランキングRanking

前のスライド 次のスライド
×