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「大人になって見つけた苦手なこと」に落ち込まなくていい理由

ぱやぱやくん(元幹部自衛官)

2022年10月09日 公開 2024年12月16日 更新

「大人になって見つけた苦手なこと」に落ち込まなくていい理由

これまで得意だと思っていたことが、ある日、突然「実は苦手かもしれない…」と感じるようになった経験はないでしょうか?中には、周りと比較し「自分はレベルが低い」と思い込み意気消沈してしまう人も少なくないはず。

Twitterフォロワー数が20万人で元陸上自衛官の、ぱやぱやくんは「本当は苦手なことを克服して得た能力を「得意になった」と勘違いし、自分の合格点を高く設定して苦しんでいることが原因」だと指摘します。

※本稿は、ぱやぱやくん著『弱さを抱きしめて、生きていく。』(PHP研究所)から一部を抜粋し、編集したものです。

 

苦手なのに「得意なフリ」してませんか?

まずは、子ども時代の自分を振り返ってみることです。「三つ子の魂百まで」という言葉通り、自分の生来の気質というのはそこまで大きく変化しません。

いかにいい大学を卒業しようが、大手企業に就職しようが、小学生の時に得意だったこと、苦手だったことを引き継いだまま大人になることが多いと私は考えています。

私のことで言えば、人と話すことが苦手ですし、できれば知らない人と必要以上に話したくありません。一方で、1人でいるのは苦ではありません。

にもかかわらず、「話すことが多い仕事」にこれまでついてきました。幹部自衛官にしろ、転職先のHR系企業にしろ、誰かと会話し、交渉するのがメインの業務でした。

こうした仕事を通して「自分は人と話すことが得意になった」と考えていましたが、周りの同僚と比較して話術が劣っていて落ち込むことや、自分が思うほどうまくいかない現実に直面しました。

そうした日々を過ごした時に、私は「どうして自分は同僚ほどうまくできないのだろう」「自分はやっぱり能力が低い」と悩みました。

でも、私はある日気がつきました。「もともと、話すのは得意じゃなくて苦手だったじゃないか」と。

本当は、話すのが苦手だった自分が人並みに話せているだけだという事実に気づいた時、私は自分のことを褒めてあげるべきでした。

「よく、苦手なのにここまで頑張ってきたな」と。そう考えると、「話すのが苦手なら苦手なりにやればいいや」と急に気持ちがラクになりました。

私は苦手なものを、「得意になった」と勘違いして、自分の合格点を高く設定して苦しんでいたのです。周りの人と比較することによって、レベルが低いと思い込み、自分自身のエネルギーを削っていました。

振り返ってみると、なぜそのように考えてしまったのか、わからないでもありません。

私たちは苦手を克服して得た能力について、過大評価しがちだからです。苦手を克服しようと頑張った分、自分を高く評価してしまうのですね。

よく、弱みが武器になるという言い方をする人がいますが、それは環境や視点が変われば活かせるという話であって、弱みを鍛えたから強みに変わるという話ではないのです。そこを勘違いすると、「努力は必ず報われる」という極端なマッチョ信仰にハマっていきます。

おそらく、読者のみなさんにも「得意だと思っていたけど、実は苦手だったこと」はきっとあるはずです。

・友達を作るのが得意だと思っていたけど、子ども時代はそんなに...。
・人と話すのが得意だと思っていたけど、奥手な子どもだった。
・細かい作業が得意だと思っていたけど、実は昔は雑だった。

苦手を克服した経験は、素晴らしいことに違いありません。ですが、もともと得意な人と比べると人並みということもあるでしょう。

ですがこうした時に、「苦手なりによくやっている」と考えると、意気消沈せず、できない自分を許すことができます。

 

「できたこと」に目を向ける

弱さと向き合うこととセットで行ってほしいのが、自分で自分を褒めること。本当は、誰かに自分を認めてもらいたいところですが、大人になると「なかなか褒めてもらえない問題」に直面します。

褒められるよりも、怒られるほうが多いのではないでしょうか。褒められたとしても、ひと月に数回褒められたら、かなり褒められたほうだと言えるでしょう。

誰かに褒められることが難しければ「自分で自分のことを褒める」というアクションをぜひ試してみてください。立ち直るためには「自分は生きる価値がない...」という自動ネガティブ思考から脱却する必要があるので、自分の気持ちを持ち上げる必要があります。

RPGでたとえるなら、回復魔法や薬草アイテムを使って回復するキャラクターのように、「自分はえらいぞ!」と褒めるクセをつけてみることです。

この褒める理由は、当たり前であればあるほどいいでしょう。たとえば「今日はトイレを綺麗にしたぞ!」「牛乳買ってきたぞ!」など、レベルが低くて問題ないと思います。現に私は、そうやって自分を褒めています。

レベルが低い称賛だと感じても、自分にダメ出しをするよりも、よほどいいのではないでしょうか。理想的な自分から減点方式で自分を評価する人は、自分にダメ出しするようになってしまいます。理想像に到達していない自分を、罰してしまうのですね。

みなさんは自衛官ではないのですから、隊員の点検のように、「数cmずれている」「1分遅刻」など、細かく自分を管理する必要はありません。

多少遅れても事故や誰かに迷惑をかけるようなことがなければ、それでいいではありませんか。なんとかなっていればそれで十分です。できなかったら「おしかったね」と自分に言ってあげればいいのです。

自分ができないことにではなく、ぜひ「できたこと」に目を向けてください。そして、できたことを褒めてあげてください。

こうした小さな習慣の積み重ねが、他者評価ではなく、自己評価の軸を生むことにつながるのだと思います。

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弱さと向き合うことは「本当の自分を知ること」

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