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生き方

夫婦はトラブルを通じてお互いを理解しあう

加藤諦三(早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員)

2022年10月17日 公開 2024年12月16日 更新

加藤諦三

できれば避けたい夫婦ゲンカですが、実はお互いを理解しあうにはいい機会なのだと、早稲田大学名誉教授の加藤諦三氏はいいます。

「テレフォン人生相談」というラジオ番組を、半世紀以上続けてきた加藤氏に、危機を乗り越え、幸せでおだやかな家庭をつくるヒントをきいた。

※本稿は、加藤諦三著『「うまくいく夫婦、ダメになる夫婦」の心理』(PHP文庫)を一部抜粋・編集したものです。

 

トラブルはお互いを理解しあうチャンス

夫婦の間ではトラブルこそお互いを理解しあうチャンスなのである。トラブルがなければお互いを理解しあう機会はない。「理解しあうためにはケンカは必要でない」と思う人もいるかもしれない。

しかしお互いにうまくいっているときに日向ぼっこをしながら話をして理解しあえるほど人間は単純な動物ではない。

もちろんそのような環境で話をすることが無意味だというわけではない。それは幸せなことであり、そのような時を持ってこそ夫婦である。

そのような望ましい環境で話し合い、お互いに理解しあえればそれに越したことはない。だが現実にはそう簡単にいかない。

マーク教授の考えが載っているアメリカの心理学雑誌『PsychologyToday』が1992年の1、2月合併号で結婚特集をした。その結論がやはり葛藤(= conflict)は結婚生活のコミュニケーションの主要な領域であるということである。

だから相手が怒ったり、自分が「かーっ」となったりしたときには「これこそがチャンス」と思うことである。「このケンカこそが相手を理解する機会だし、逆に自分を理解してもらうチャンスだ」と思うようにすることである。

自分のどのような言動が相手を傷つけたのか、自分は傷つけるつもりなど毛頭ないのになぜこれほど相手は傷ついたのか、相手の心理的アキレス腱はトラブルを通してしか理解できない。

なぜ相手がそこまで傷ついたかという理解こそ、相手の心を理解するポイントなのである。

そのように相手を理解しようとする姿勢があってこそ相手を愛しているといえる。相手が傷ついて怒ったときに、こちらもただ腹を立てるだけであるなら、相手を愛しているとはいえない。

それは相手を好きであるかもしれないが、相手を愛しているとはいえない。相手を理解したいと望めば当然相手に注意がいく。

そして何かトラブルが起きたときには、相手は自分が想像するよりはるかに深く傷ついていると思ったほうが正解である。

自己中心的な夫や妻は相手の辛さを甘く見る。自己中心的な人は、自分がどのくらい人を傷つけているか、気がついていない。したがっていろいろなトラブルが出ても最初はたかをくくっている。

【著者紹介】加藤諦三(かとう・たいぞう)
1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1973年以来、度々、ハーヴァード大学研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授、日本精神衛生学会顧問、ニッポン放送系列ラジオ番組「テレフォン人生相談」は半世紀ものあいだレギュラーパーソナリティを務める。

 

著者紹介

加藤諦三(かとう・たいぞう)

早稲田大学名誉教授、元ハーヴァード大学ライシャワー研究所客員研究員

1938年、東京生まれ。東京大学教養学部教養学科を経て、同大学院社会学研究科修士課程を修了。1973年以来、度々、ハーヴァード大学研究員を務める。現在、早稲田大学名誉教授、日本精神衛生学会顧問、ニッポン放送系列ラジオ番組「テレフォン人生相談」は半世紀ものあいだレギュラーパーソナリティを務める。

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