磯野貴理子が脳梗塞の病室で感動 クヨクヨした心を「アンパンマン」が変えてくれた
2026年02月23日 公開
50歳で脳梗塞を発症し、約1カ月の入院生活を体験したタレントの磯野貴理子さん。
もとは「かなりネガティブ」という貴理子さんですが、病室で得たたくさんの本や映画との出会いで、気持ちが楽になっていったようです。なかでも感動したのが「アンパンマン」だそう。
無理に笑わなくてもいい、時が解決してくれることもある。身の周りの小さなタネを見つけ、笑顔で暮らす秘訣を語ります。(取材・文:金原みはる)
※本稿は、『PHP』2026年1月増刊号の内容を一部抜粋・再編集したものです。
何かあると、うじうじと考え込んでしまうタイプ
もう3年半ほど前(※)になりますが、脳梗塞という病気を経験しました。幸い症状は軽く、約1カ月の入院を含め、2カ月程度で仕事に復帰することができました。おかげさまで後遺症もなく、今はすっかり元気です。
ただ、あとで病院の先生にうかがったところ、「処置が遅れていたら、あぶなかった」とのことでした。やはり、たいへんな病気だったんですね。このくらいで済んで、ほんとうによかったと感謝しています。
それでも入院中は、「これからどうなるんだろう」と不安でした。バラエティーのお仕事をしていることもあり、私のことを、あっけらかんと明るい性格だと思ってくださっている方も多いかもしれません。
でも、こう見えて、もともとかなりネガティブなほう。昔から、何かあると、うじうじと考え込んでしまうタイプでした。
悩んだときは、本を読むことがよくありました。本のなかには、自分の弱った心にスーッと染み込むような、いい言葉がたくさん出てくるからです。
自分の悩みの小ささを知る
入院中もいろいろな本を読みました。最初は、病気のことが気になって、長生きの秘訣などの健康関連の本。そのうち、人生論や、生き方を綴った伝記やドキュメンタリーなどにも手を伸ばしていきました。
今まで知らなかったけれど、世の中には、こんなふうに困難を乗り越えた人がいるんだ、こんなに強く生きた人がいるんだ......。
読めば読むほど、本はいろいろなことを教えてくれました。そして自分の悩みがいかに小さいかを思い知らされました。
「今、元気に生きているのに、どうしてこんなにクヨクヨしていたんだろう。なんか私って、バカみたい」。自分で自分を笑い飛ばしてみたら、どんどん気持ちが楽になっていきました。
時間だけはたっぷりあったので、病室で映画を観ることもありました。なかでも感動したのは、アンパンマンの映画。もちろん、アンパンマンが人気なのは知っていましたが、それまでちゃんと観たことがなかったのです。
そこで何気なく観はじめたのですが、もう目が釘付けでした。お腹がすいて困っている人、ひとりぼっちで寂しい人。そんな人たちに、自分の顔の一部をちぎって食べさせてあげるアンパンマン......。なんてすてきな物語なんだと、感動しっぱなし。
とくに主題歌の「アンパンマンのマーチ」には、体が震えるほど喜びを感じ、心を揺さぶられました。「そうだうれしいんだ生きるよろこびたとえ胸の傷がいたんでも」。今も、あのフレーズは、忘れることができません。
その後で、作者の故・やなせたかしさんの本も読ませていただきました。ご自身の戦争体験や特攻隊で亡くなった弟さんのことなどを知りました。そんなすさまじい体験があったからこそ、アンパンマンのような心あたたまる作品を描き続けることができたのですね。
笑顔のタネはたくさんある
私も54歳(※)になりました。仲良しだった同級生たちも、子育てから手が離れてちょっとゆとりが出てきた時期。よく電話でおしゃべりするようになりました。
夫や子供のこと、親のこと、健康のこと。言わなかっただけで、それぞれ、いろいろな苦労があったことがわかります。でも、「今は大丈夫だけどね!」と、最後は明るく笑い合っています。
ほんとうにつらいときは、笑えないものです。でも、無理して笑わなくたっていい。そのうち時が解決してくれることもあるのだなと、彼女たちと話していて思います。
20年以上続くトーク番組「はやく起きた朝は...」に出演させていただいていますが、今の楽しみの一つは、そのなかで視聴者のみなさんが送ってくださる赤ちゃんの写真を紹介するコーナーです。いろいろな表情や仕草の赤ちゃんを見ているだけで癒やされ、自然と笑顔になれるのです。
小さなことですが、身のまわりには、笑顔のタネがたくさんあるものです。どんなときも、そこにちゃんと気づける自分でありたいなと思っています。
※2018年当時