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「温故一新」の志で絆を深め、本物の味を追求し続ける~土井志ば漬本舗

対談:土井健資 × 鈴鹿可奈子

2018年03月27日 公開 2018年03月27日 更新

創業百年の教えを「十五の志」に受け継ぐ

鈴鹿 今おっしゃった「ストーリー性」は、つまり独自のバックグラウンドということになるかと思いますが、御社では商品づくりや経営における理念をどのように受け継いでこられたのですか。

土井 弊社には、創業者の曾祖父や2代目社長の祖父が教えを書き記した古い冊子が伝わっています。曾祖父は明治34(1901)年に「志ば漬」の製造と食品小売業を始めたわけですが、その冊子に創業期の苦労や家内工業ならではのノウハウなどを書き遺してくれました。祖父は、戦後、法人化するなど店を発展させましたが、「力以上のことをしてはいけない」といった商売上の教えを遺してくれていて、今も私どもの伝統として守り続けています。また、3代目の父は私が28歳の時に亡くなりましたが、ものづくりの原則に関する教えを遺してくれました。その内容は、創業百年にあたる平成13(2001)年に、私が38歳で社長となって制定した社是「十五の志」に盛り込んでいます。

鈴鹿 ぜひ詳しくご紹介ください。

土井 はい。当社の社是は、「ものづくり」「人づくり」「組織づくり」各五項目の計十五項目で構成されています。順に読んでまいります。

ものづくり
一、美味しさを究める
二、自然志向で健康によい
三、鮮やかな特長をもつ
四、日常性がある
五、由来を大切にする

人づくり
一、笑顔とあいさつ
二、誇りをもとう
三、問い学び智恵を磨け
四、有言実行
五、情熱で響きあえ
 

組織づくり
一、温故一新
二、お客様を第一に
三、偏りがない
四、常に判断を求める
五、先頭に立って行動する

「組織づくり」第一項の「温故一新」は、当社の経営理念でもあります。「伝統を大切に、先人の智恵に学び心一新。新たな『志』を胸に研鑽を重ね、精進し、愛される商品づくりを目指します」という文言がこれに続いております。
社是と経営理念は毎日の朝礼で全社員が唱和し、心にしっかりと刻み込んでいます。これらの言葉には、社員たちにものづくりの心を磨き続けてほしい、全員が調和して成長してほしい、組織として正しく行動し、働く喜びを感じてほしいという私の想いが込められているのです。
 

DATA
株式会社土井志ば漬本舗
■本社:〒601-1251 京都市左京区八瀬花尻町41番地
■創業:1901年
■主な事業内容:京漬物・佃煮製造販売
■経営理念:温故一新——伝統を大切に、先人の智恵に学び心一新。新たな「志」を胸に研鑽を重ね、精進し、愛される商品づくりを目指します。

※本記事は、マネジメント誌「衆知」2017年11-12月号掲載《京都企業が明かす「うちの経営哲学」第3回》より、一部を抜粋編集したものです。

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