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生き方

「売上至上主義はいらない」100食限定ステーキ丼が生んだ“持続可能な働き方”

中村朱美(「佰食屋」オーナー)

2020年03月27日 公開 2023年06月05日 更新

理想の仕事は「持続可能」な働き方を自分で選び、つかみ取ること

――ランチのみ、100食しか売らない理由は?

飲食店は勤務時間が長く、土日は休めず、最低限のスタッフで店を回してる。だからお客様が増えれば増えるほど従業員は大変。なのに給料が増えるわけではないんですよね。どんなに頑張っても対価を得にくい。

こんな三重苦を自分の会社の従業員には強いたくない。そう思って行き着いたのが業績至上主義の撤廃です。

売り上げをギリギリまで減らす、そうしてたどり着いたのが100食という答えです。1日の販売数を決めて「早く売り切ることができたら早く帰れる」という仕組みにすれば、皆無理なく働けるのではないか、と思ったのです。

目標はいたってシンプル。本当においしいものを100食心を込めて販売し、早く帰ろうということです。仕込みや掃除を含めても例えば朝9時から始まり遅くても17時台には退勤できるので、家族の時間、プライベートな時間を持てる働き方ができるのです。

私自身も2人の子供を出産したことで家族の時間が最優先になりました。仕事に1日の大半を費やし辟易するのではなく、個々の時間を持てることこそ豊かなのではないかと思っています。

なので、事業拡大や成長に興味はありません。求めるのは穏やかな成功。販売数を100に限定したように、収入も上限を決めました。そうすることで自ずと事業規模も定まってくるんです。

――あなたが思う理想の仕事(働き方)とは?

無理せず働くことができる「持続可能」な働き方を自分で選び、つかみ取ることです。

時代は日々変化しています。いつ何時何が起きるか誰にも予測はできませんが、どんな状況になっても稼げる仕組みを持っておくことは大切だと思います。そのとき大切なのが自己決定権を持つことです。

就業時間も働き方も、稼ぎたい金額もやることも、仕事の後の時間をどう使うかも、すべて自分で決められる。それこそが納得できる幸せな人生なのではないでしょうか?

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