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大失敗して「衰退する企業」「むしろ伸びる企業」の違いとは

大賀康史(フライヤーCEO)

2022年01月07日 公開 2022年01月13日 更新

ビジネス書を中心に1冊10分で読める本の要約をお届けしているサービス「flier(フライヤー)」。こちらで紹介している本の中から、特にワンランク上のビジネスパーソンを目指す方に読んでほしい一冊を、CEOの大賀康史がチョイスします。

今回、紹介するのは『世界「失敗」製品図鑑』(荒木博行著、日経BP)。この本がビジネスパーソンにとってどう重要なのか。何を学ぶべきなのか。詳細に解説する。

 

成功への道のりは細いからこそ、失敗から学びたい

今までに一度は誰もが手痛い失敗を経験しているのではないでしょうか。新しい挑戦の道のりは不確かなものですし、日常には失敗があふれています。『世界「失敗」製品図鑑』は、先人の失敗から私たちの未来の挑戦に活かせる教訓を学べる作品です。

題材となっている20の失敗製品は、ニュースや本で触れたことがあるものばかりで、しかも世界的にも今も偉大な会社によって作られたものです。

一つひとつの事例に触れると、自分が同じ立場で取り組んでいても同様の失敗をした可能性が高い、と思わされます。紹介されている全ての製品が、「合理的」に始められて、結果として失敗しています。その時点で戦略としては正しい判断をしていても、失敗が避けられなかったとも言えます。

 

代表的な失敗製品から学ぶ

本書で紹介されている失敗製品の事例から、ここではセブンペイに触れていきます。

この事例は失敗の印象が鮮明に残っている人も多いのではないでしょうか。セブンペイが鳴り物入りでスタートしたのは、バーコード決済が盛り上がっていたときでした。当時、ペイペイ、ラインペイ、メルペイなどのサービスが覇権を争っていました。

セブンペイのリリースの少し前、2018年12月に行われたペイペイの100億円キャンペーンの効果は目覚ましいものでした。

ペイペイが使えない店舗で、楽天ペイペイ(正確には楽天ペイ)は使えますか?というやり取りがあったという話を、SNSで目にしました。他のサービス名にペイペイが入り込むほどに、バーコード決済の第一想起は既にペイペイが取ろうとしていました。

セブンペイは、セブン‐イレブン・ジャパンを有する巨大小売企業群のセブン&アイ・ホールディングス傘下の会社である株式会社セブン・ペイが提供したサービスでした。

開始日は2019年7月1日。毎日2400万人が訪れる約2万1000ものリアル店舗を有している、セブン‐イレブンでの利用も企図されたサービスということで、メディアにも多く取り上げられました。

しかし、その翌日には不正取引に関する問い合わせが殺到。7月4日には記者会見を行い他サービスでも使われている2段階認証の提供を宣言しました。しかしサービスや経営陣への批判は止まらず、8月1日にはサービスの終了を発表しました。

経営トップの発言内容から、「我が社は他社と違う」「我が社のロジックでOKだから問題ない」という狭い視野で、この事業を見ていたことも原因にあると考えられました。

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失敗からの教訓

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