エジソンの名言「天才は99%の努力」は事実? 研究でみえた“才能”の正体
2022年11月30日 公開
才能は「できないこと」の言い訳にならない
さて、ここまで本書の内容に触れてきましたが、どんな感覚を持ったでしょうか。自分の場合はまずは、才能という言い訳がなくなることの絶望感です。
つまり、何かができないのは努力ができない自分のせい、という残酷な事実を痛感するのです。それをバネにして、もしかしたら「よし。1万時間がんばるぞ」という人もいるかもしれません。子供の教育に活かせるところもあるでしょう。
ただ、著者がそうだったように、そのような努力ができる環境にいるということは、やはり幸運なのだと言え、それが広い意味でのギフテッドなのかもしれません。
与えられているのは、才能そのものではなく、質の高い訓練ができる環境と努力ができる性格的な特性という意味とも解釈できます。そう解釈して自分を慰めておく感じでしょうか。
そして、私たちがあきらめてきたものも、単に適切な努力が足りなかっただけだと割り切れれば、再度チャレンジする気になれそうです。
本書の結論は、深淵に見える才能というものの正体は、質の高い努力の時間による、というあまりにシンプルなものですから、本当にそうなのかなと疑問を持って読んでみるとより充実した読書体験になるのでお勧めです。
様々な角度から検証がなされていて、疑問に思ったことが一つずつつぶされていくことに、爽快感すら覚えます。この本が人生に生きるかどうかは自分次第。
本書は突出した才能が見当たらない、いえ、圧倒的な努力を経ていない多くの人に参考になるはずです。年始の抱負を決める前に本書を一読してみてはいかがでしょうか。