「わかる」「できる」「やるぞ」で人生は変わる！

SOCを高める取り組み

困難を乗り越える力（SOC）には、長い年月をかけて「良質な経験」を重ねていくことにより、徐々に高められていくという特徴がある。そのため「これをしたら必ず高まる」というような、大規模研究によって効果が実証された介入プログラムは、今のところ存在しない。

しかし110人程度であれば、メンタルヘルスの問題を抱えた人々への効果が認められたスウェーデンの介入プログラムをはじめ、SOCを高めることを目的とした取り組みは、近年増えてきている。

私も、国内では企業や行政組織等の職場で、産業医や保健師、養護教諭等の支援専門職、災害被災者に向けて、海外では旧ユーゴ紛争生存者に向けて、SOCのスキルアップ研修を行ったり、相談に乗ったりしてきたなかで、手ごたえを感じている。

「この困難を乗り越えるために、（１）何をしないといけないか“わかる”、（２）自分ならきっと“できる”、（３）よし“やるぞ”と思えるためにはどうすればいいのか？」という視点から考えることで、頭が整理され、直面する困難がどれほど大変であったとしても、解決に向けての道が探究しやすくなったり、楽になったり、やる気になったりすることを目の当たりにしてきたのである。

拙著『困難を乗り越える力～はじめてのＳＯＣ』には、私のこれまでの経験や先行研究を踏まえて、SOCの構成感覚であるわかる感、できる感、やるぞ感の３感覚を、自分で高めていくための方法をまとめて紹介している。