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日本の国家予算107兆円は妥当か...統計学で探る「大きすぎる数字」の真意

斎藤広達(経営コンサルタント)

2023年03月27日 公開 2024年12月16日 更新

日本の国家予算107兆円は妥当か...統計学で探る「大きすぎる数字」の真意

様々なデータ、会社の売上や目標、日々の家計から国家予算まで...身近にあふれるさまざまな「数字」。その意味を正しく把握し、自分事として把握するためのスキルが「統計学」だ。本稿では、一見すると理解が難しい「巨大な数字」との付き合い方について、斎藤広達氏が解説する。

※本稿は、斎藤広達著『超文系人間のための 統計学トレーニング 「数学を読む力」が身につく25問』(PHPビジネス新書)を一部抜粋・編集したものです。

 

巨大すぎる数字との付き合い方

統計学というと、複雑な式と計算が必要なものを思い浮かべるかと思います。確かに、統計学そのものは複雑な計算式が求められるものですし、そうした高度な計算が必要とされることもあります。

しかし、多くのビジネスパーソンが仕事において使うにあたっては、あるいは日々の生活に役立てるためには、簡単な四則演算、つまり「足す、引く、かける、割る」だけで、ほとんどのことができてしまうのが現実です。

たとえば、「平均」。誰もが小学生のときに習ったことと思います。念のため、以下のような例題を出させていただきます。

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Q. あなたは住宅販売メーカーの販売担当者です。今日、6人のお客さんが相談に来られました。それぞれの方の年収は300万円、400万円、400万円、900万円、1000万円、1200万円でした。今日来たお客さんの平均年収はいくらになるでしょうか。
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ごくごく簡単な問題です。

300万円+400万円+400万円+900万円+1000万円+1200万円=4200万円

4200万円÷6=700万円

答えは「700万円」です。

簡単すぎるので「ひっかけ問題では?」と思った人もいるかと思いますが、そうではありません。ウォーミングアップのようなものだと考えてください。

平均身長や平均体重、あるいは平均年収など、「平均」は身近に溢れています。あまりに簡単なので誰もが「これが統計学なのか」と考えるかと思いますが、平均も立派な統計学の1つです。

ただし、重要なのはその使い方です。使い方次第で平均値はほとんど意味のない数字になることもあれば、ビジネスに重要な指針を与えてくれる存在にもなり得ます。

本稿では、そのための「正しい平均の使い方」をお伝えしたいと思います。

 

@変換で巨大な数字を自分事に

私がぜひ「クセ」にしてほしいと思っている平均計算があります。それは「1人当たりの平均値を出してみる」こと。これを「@変換」と呼びます。

世の中にはちょっと想像ができないくらい、巨大な数字が溢れています。

たとえば、
・日本の国家予算107兆円
・トヨタ自動車の売上27兆円
などなど。

人はあまりに大きな数字を前にすると思考停止状態に陥ります。「数字が苦手」という人の多くは、実際には「大きな数字が苦手」なのではないでしょうか。

そこで役立つのが、この「@変換」です。1人当たりの数字を出すことで、大きすぎる数字を「自分事」にする技術だと言えます。

では、先ほどの「日本の国家予算107兆円」を、日本人1人当たりの数字に直してみましょう。日本の人口は約1億2000万人ですから、1人当たり約89万円となります。

107兆円÷1億2000万人=89万1666.666......円

国家予算の中には社会保障費やインフラの整備費、あるいは防衛費などが含まれています。我々が日々、安心して快適に暮らすためのコストとして、年間約90万円が使われている。国家予算107兆円というのは、つまりそういうことだと考えられます。

それを多いと思うか少ないと思うかは人それぞれだと思いますが、@変換によって「自分事」としたことで、大きすぎる数字がイメージできる数字になったと思います。

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