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出社日は自由、助け合い禁止...働きやすさで話題のエビ工場が考えた“型破りなルール”

武藤北斗(株式会社パプアニューギニア海産代表取締役)

2023年03月30日 公開

 

気分よく働くための50以上ものルール

反省の念を深くした私が改めて取り組み直したのは、パート社員としっかり対話をすることでした。「関係性が悪化した職場をどうすれば働きやすい環境に変えられるか」。これをパート社員の声をもとに考え抜いたのです。

その結果、「フリースケジュール」や「嫌な仕事はやらない」をはじめとした、ストレスのない自分の生活を大事にした職場づくりのルールを数々打ち出していくことになりました。

「挨拶は出勤時の1回だけ」「旅行先のお土産は禁止」「会社の飲み会は禁止」など、今ではざっと50以上ものルールが生まれています。いずれも、従業員が人間関係で余計なストレスを持つことなく、気分よく働けるようにするための約束事です。

なかには、「エビの殻は自分で捨てにいく」という一風変わったものもあります。他の人の殻を自分のものと一緒に捨ててあげることは一見親切のように思えますが、殻を捨てにいく際に軽くストレッチをして気分をリフレッシュする機会にしている人もいることが、対話をしてわかったからです。

最初こそ、パート社員は不信感を持っていましたし、考え方が合わず辞めてしまう人も何人かいました。しかし、多くのパート社員は対話を通して徐々に私の考え方を理解し、働き続けることを選んでくれました。

 

対等な目線で「真の対話」をする

私が従業員たちと対話をする際に心がけているのは、フラットな関係性で向き合うようにすることです。「聞いてあげている」という"上から目線"になってしまうと、相手と"真"の対話をすることができません。

具体的にどうするか。まず、会議室などの改まった場所ではなく、普段からよく出入りするような場所を選びます。ちょっとしたスペースにパイプ椅子を並べるだけで十分です。

相手に威圧感を与えないように手や足を組んだりはせず、話しやすい雰囲気づくりに細心の注意を払います。無理やり何かを聞き出そうとするのではなく、話してくれることに耳を傾ける姿勢が大切です。

その後の段階でよくあるのが、意見を言ったものの何も反応がないというケース。私は言ってもらった意見や提案は、「みんなの間で争いが起きないか」という視点で検討し、その結果をきちんと理由をつけて説明します。

もし反対があれば、直接意見を聞いて、再び検討。納得するまでこれを繰り返します。

従業員たちにとっては、自分の意見が通ること以上に、このようなプロセスで納得感が得られることのほうが重要なのです。"本気"で働きやすい環境をつくろうとしている私の思いが伝われば、反対意見を持っていた人も大抵納得してくれます。

もう一つ重要なのは、マネジメントをする側も現場を知ること。従業員の言うことをできる限り理解するため、私自身もほぼ毎日、工場で一緒に作業をしています。現場を知っているからこそ、従業員は私を信頼して意見を言ってくれるし、私もその言わんとすることがよく理解できるのです。

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失敗経験がよりよい職場づくりにつながる

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