↑キックなどの激しいアクションが魅力のタンゴ
いまやテレビや漫画などさまざまなメディアで取り上げられ、SNSで世界中のトップダンサーの動画を気軽に見られるなど、身近な存在になっている「社交ダンス」。
燕尾服とふわりと舞うドレスで優雅に踊ったり、ワイルドな衣装と派手な装飾のついた短いドレスで激しく踊ったり、ただ見ているだけでも楽しいですが、知識があればもっと楽しめます。
いったい「社交ダンス」にはどんな種類の踊りがあり、それぞれどんな特徴があるのでしょうか? 詳しくご紹介します。
※本稿は山本英美・棚橋健監修『1人で始められる、楽しめる! 社交ダンス入門』(辰巳出版)を一部抜粋・編集したものです。
社交ダンスの2つのスタイル
↑左:インターナショナルスタイル、右:アメリカンスタイルのイメージ
社交ダンスは「インターナショナルスタイル」と「アメリカンスタイル」の2つに分類されます。
インターナショナルスタイルは、競技を前提に発展した10種目のダンスのことで、最近テレビや漫画でも取り上げられている、いわゆる「競技ダンス」のこと。
競技化にあたって、より大きな踊りへとアップデートされていった歴史があり、どの種目もアグレッシブに魅せる点が特徴です。筋肉を最大限に使い、スピーディーでキレのあるダンスを目指します。
一方アメリカンスタイルは、競技的な側面よりも、カップル間のコミュニケーションが重要視されています。
もちろんインターナショナルスタイルでもカップル間のコミュニケーションは重要です。男女のカップルでは、多くの場合男性がリーダーとなり、踊る方向やアクションのタイミングなど、フォロワーである女性に指示を出しています。
これをダンス用語で「リード&フォロー」といいますが、アメリカンスタイルの場合、よりリード&フォローが重視されています。なぜなら、アメリカンスタイルには即興性というもう一つ大きな特徴があるからです。
インターナショナルスタイルは、競技会用に決められたステップ(ダンス用語でルーティン)を踊り披露することが前提のダンスですが、アメリカンスタイルにはそのようなルーティンはなく、カップルが自由に気の向くままに、コミュニケーションを楽しみながら踊っています。
現在、日本国内の社交ダンス教室で教えられているのは、ほとんどがインターナショナルスタイルです。そのため、メディアで目にする社交ダンスはそのままインターナショナルスタイルに結び付けられます。
では、そのインターナショナルスタイルには、どのような種類があるのでしょうか。
インターナショナルスタイルもさらに2種類に分類
↑ワイルドな動きやセクシーな表現が魅力の「ラテン」
現在日本で「社交ダンス」として親しまれているのは、競技化された踊りであるインターナショナルスタイル。このインターナショナルスタイルも、さらに「スタンダード」と「ラテン」という2種類に分類されています。
スタンダードのわかりやすい特徴は、男性は燕尾服、女性は裾が何層にも重なったふわりと広がるロングドレスを、それぞれ競技会で着用していること。お城の舞踏会で踊られているようなダンスのイメージです。
踊りの種類にもよりますが、男性も女性もエレガントさや上品さをダンスの中で表現し、優雅な身体表現で観客を魅了します。
また、もう1つの特徴は、常に互いの手をつなぎ腕を組んでいることです。多くの場合男女が1組になって踊る社交ダンスでは、「リード&フォロー」が大切です。
男性がフォロワーである女性にリードを伝えるための、2人の手は繋がれ、腕や体の一部も接地しています。この接地点をコネクションといいますが、スタンダードでは常にこのコネクションが繋がったまま、男女の体が離れることなく一体となって踊るのが特徴です。
一方ラテンの特徴は、男性はぴったりとしたシャツなど体が大きく強そうに見えるものを、女性も体のラインに沿ったものや短い丈のスカート、よく舞うフリンジのついたドレスなどを着用していることです。
男女ともにセクシーさや強さが際立ち、野性的でダイナミックな動きが特徴。ラテン系の音楽に合わせて、男女の駆け引きを踊りの中で表現するものが多いです。
スタンダードのコネクションは常に接地していて男女が一体となって踊っていたのに対し、ラテンのコネクションは男性の左手と女性の右手の1カ所のみ、しかも離れる瞬間があることが特徴です。
それぞれ繋いでいない方の腕は「フリーアーム」と呼ばれ、ダイナミックにエレガントに動かすことで、ダンスに立体感と迫力を出しています。
男性がリーダーとしてフォロワーである女性をリードする点はスタンダードと同じですが、2人のコネクションは常に繋がっているわけではなく、離れてそれぞれで踊るルーティンも多くあります。