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生き方

自分に自信がない人は“他者の評価”を気にしすぎている

ジョン・キム(作家)

2024年01月15日 公開

 

群れから離れる

例えば、大学時代の友人たち。会社の同期や同僚たち。"群れ"の中にいると、どんどん居心地がよくなっていく。

しかし、これは私の経験上もそうだったのだが、群れの中にいればいるほど、自分の内面は弱くなっていくのだ。自立心は削がれ、妥協の気持ちが大きくなり、甘えるようになる。自分がどんどん失われていく。

居心地のよさを群れの中で自覚したなら、そこから距離を置く意識を持つことだ。あえて孤独になり、一人ぼっちになることである。そうすることによって、このままでは大変なことになるという危機感や緊張惑が生まれてくる。

群れから離れるというのは、自分の中で緊張感を高め、危機感を生むための戦術である。自分が一人で独立し、自立した形で生きていくための条件である。

まずは、意識レベルで群れから自分を切り離すことだ。どうでもいい飲み会などには、行かない。行くことによって安心する自分を、弱い自分として認める。危機感と緊張感を自分で作り出してみる。

しかし、よくよく考えてみれば、自分が関わっている群れというものが、極めて小さな話であることにも気づける。たかだか数十人、数百人の群れなのである。日本の人口は何人か。アジアの人口は、世界の人口はどうか。

そこから見れば、吹けば飛ぶような群れなのだ。むしろ、群れの中で気持ちよく安住しているほうが、大きな世界から見てみれば余程、リスキーなことかもしれないということに、早く気づいたほうがいい。

だからこそ私はよく、若い人に言う。周りと同じような意見を持っているときには、安心するのではなく、むしろ危機感を覚えなさい、と。本当にそれでいいのかどうか。群れの中ではスタンダードでも、大きな世界ではどうか。

小さな群れの中にいることによって、発想力が削がれてしまっているのではないか、と。実は自ら群れを出る勇気を持つと、新たな人との関わりが大きな喜びになっていくものである。

人と出会ったり関わったりする喜びは、群れを出ることによって、むしろ大きくなっていくのだ。群れの中の一員としてではなく、自立した一人の個としての関わりを実感できるからである。

群れを離れるといっても、他者に対して排他的になるわけではない。自分と向き合う時間を作り、自分というものをよりしっかりと創りあげていく。そして誰に対しても媚びずに、対等な関係を築き上げることを心掛けるべきである。

 

枠から意識的にはみ出す勇気を持つ

これは特に日本人にそういう傾向が強いのかもしれないが、群れの中にいることが当たり前だと思い込んでいる人が多い。もっと大きな枠組みで、組織や企業といった枠もそうである。

しかも、その枠は極めて限定的なものになっている。枠は最初からあるもので、なくてはならないものと思っている人は多い。そして、人々にとっての心地よい枠の選択肢は少ない。

それが結果的にどういうことを引き起こすのかというと、新しい枠を発見したり、枠を超えて移動したり、場合によっては枠を自分で創りあげたりする意識が、希薄になるのである。

すでにある居場所にばかりこだわり、枠を制限するのだ。しかし、これは危険である。世界が広がらないからである。他の選択肢を増やせないからである。選択肢がひとつしかない人生は、実は危ないことだ。

だからこそ、リスクを回避するためにも、枠から意識的にはみ出す勇気を持ったほうがいい。一気にはみ出していくことは難しいから、日常の中で徐々にはみ出す練習をしていく。そういう意識を持っておいたほうがいい。

そもそも枠は所与でも、ひとつでもないのだ。実は枠は、構築可能なもので、潜在的に無限なものなのだ。

 

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