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くらし

交感神経が働きすぎ...「疲労が溜まりやすい人」の自律神経の状態

中根一(鍼灸師)

2023年11月20日 公開 2024年12月16日 更新

 

仕事面・健康面での差は歴然! 疲れの恐怖

疲れと同時に起こる心身の変化のうち、日常的に自覚しやすい症状を、いくつかご紹介しておきましょう。

【疲れからくる体の症状】
・目が乾燥する。疲れ目。とくに夕方になると目がかすむ。
・口が渇く。口臭が気になる。
・食事後、胃もたれや腹痛が頻繁に起こる。
・何もしていないのにドキドキしたり、汗が出たりする。
・アレルギー症状が出やすくなる。花粉症が悪化する。喘息が出やすくなる。
・眠りが浅くなる。朝、目が覚めたときから、信じられないくらい体がだるい。
・血圧が高くなった。
・呼吸が速く、浅くなりやすい。
・肝機能が低下する(お酒に弱くなる、食欲不振が起こる)。
・肌のターンオーバーが低下する、肌の乾燥・たるみが起こる。

いかがでしたか? 「疲れた」「だるい」という感覚がなくても、これらの症状が出たときには、体は「隠れ疲労」を溜め込んでいる可能性があります。

そもそも病気とは、身体機能のアンバランス(不調)が長期的に改善されなかったために、働きの偏りが固定化してしまった状態のことです。

ですから、疲れが蓄積した状態やこれらの症状を放置しておくと、やがて病気へと悪化してしまうということは、想像に難くありませんよね?

このように疲れや交感神経の働きすぎによって血管が収縮し脳への血流が低下すると、思考力や判断力、集中力や記憶力が低下して仕事や勉強などのパフォーマンスが下がります。注意力が散漫になることで、事故やケガの可能性が高まることも懸念されます。

「疲れの放置」は、私たちの想像する以上に「人生のリスク」となるのです。

 

忙しい人ほど知っておくべき疲労回復の一番のコツ

とはいえ、根深い疲労も体のクセを感じているだけなので、病院で検査を受けても異常が見つからないケースがほとんどです。それだけに、健康と病気の境目には、いつも「自覚」というセンサーを働かせていただきたい。

その際の指標は、私たちが直感的に感じる「いい感じ」と「イヤな感じ」、そして「幸せな感じ」「健康な感じ」「心地いい感じ」です。

たとえば満腹度で見れば、「よし食べた、もう満足」:100%、「もうお腹いっぱい。ちょっと食べすぎたかなあ。大満足!」:120%、「おいしかった! あと1皿、追加してもいいけど、今も十分心地いい」:80%といったところでしょう。

80%で食事を終えると、しばらくしてから血糖値が上がって満腹感が訪れるので、満足度の割にお腹への負担は軽くて済みます。この、「80%の絶妙に充たされた爽快感」があなたの体の「いい感じ」。

物事のすべてを数値化しなくても、「爽快感」を知っていれば体を健康に維持することはできるのです。

この、「爽快感のある状態」は、体のすべての感覚に当てはまります。私はこの状態を「フィールグッド」と呼んでいます。心が弾むようなうれしい出来事があったり、よしなしごとを忘れ去ってしまいそうな美しい自然の景色を見ているときの感覚、これも「心のフィールグッド」です。

心地よい状態にあると、体はおのずと元気を取り戻します。

様々な感覚がこの状態になることを目指していくことが、「疲れ」を上手に受け流し、解消していくための一番のコツなのだと、東洋医学は伝えているのです。

自分にとって、どんな状態が「心地よい」と感じ、「爽快感を覚える」のか──あなた自身の「フィールグッド」探しを、ふだんから心がけてみてください。

 

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