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「脳の疲れ」がスーッととれる!“癒しホルモン”オキシトシンの増やし方



2012年08月17日 公開

有田秀穂(東邦大学医学部教授)

「幸福ホルモン」として注目されはじめたオキシトシン

 では、近年「幸福ホルモン」として注目されている「オキシトシン」について、少しお話ししていきましょう。オキシトシンは哺乳類だけが持っているホルモンで、心が癒される、幸せな気分になるという効果があります。

 オキシトシンは40年以上前から、女性が分泌するホルモンで、2つの役割があるということは、わかっていました。

 第一は出産するときに子宮を収縮させて、出産を促すことです。よく陣痛を促進させるために点滴に使われているのがオキシトシンです。

 もう1つは、出産したあとに、母乳を分泌させます。つまり、母乳を出すように促すのです。赤ちゃんがお母さんの乳首を吸うと、それが誘因になり、母親の脳からオキシトシンが分泌され、母乳の合成と分泌を促進させるのです。

 母親が出産し、赤ん坊を育てることに直結したホルモンとして、オキシトシンは昔からよく知られていました。

 しかし、このオキシトシンの研究がこの10年くらいで進んで、オキシトシンは母親だけが出すものではなく、母親になっていない女性も、また男性も、年齢も関係なく、分泌されることがわかってきました。

 とくに最近になってオキシトシンが母乳を出すように促すだけでなく、母性愛と関係することがわかってきました。さらに信頼や男女の愛情と関係して分泌されるということもわかってきたのです。母性愛という心の状態だけでなく、信頼という心の状態、男女の愛情という心の状態をつくり出すということで、急激にこのオキシトシンというホルモンの役割が注目されはじめたのです。

 近年注目されている、オキシトシンの効果をまとめると、次のようなものです。

1、人への親近感、信頼感が増す。
2、ストレスが消えて幸福感を得られる。
3、血圧の上昇を抑える。
4、心臓の機能をよくする。
5、長寿になる。
 オキシトシンが分泌されると、脳内では「脳内物質」として働いて心を変え、さらに血液中のホルモンとなって体にも効くのです。

 

オキシトシンとセロトニンの深いかかわり

 オキシトシン受容体は、前頭前野と扁桃体にありますが、まさにそれは心に関係した脳の場所にあるわけです。ですから、心の状態に影響を及ぼす脳内物質ともいえます。

 セロトニン神経の神経細胞にオキシトシンの受容体があります。ですから、オキシトシンがたくさん分泌されてオキシトシン受容体に届くと、同時にセロトニン神経が活性化されることになるのです。

 よって、オキシトシン分泌を盛んにするような行動を行なうと、セロトニン神経の活性も起こるわけです。つまり、オキシトシンの分泌 → セロトニン神経の活性化 → セロトニンの分泌というような流れになります。

 セロトニン神経が活性化されると、脳の状態を安定させ、心の平安、平常心をつくりだします。また、自律神経に働きかけて、痛みをやわらげる効果もあります。そのように、脳全体の状態を変えてくれます。

 何度もお話ししているように、セロトニン神経を活性化するには、リズム運動と太陽の光、そしてグルーミングの3つが大切です。

 この第三の方法であるグルーミングは、セロトニン神経を活性化するとともに、オキシトシン分泌にかかわっています。グルーミングによって、セロトニン神経が活性化するのは、まずオキシトシンが分泌されることによると考えられます。

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著者紹介

有田秀穂(ありた・ひでほ)

東邦大学医学部統合生理学教授

1948年、東京生まれ。東京大学医学部卒業。現在、東邦大学医学部統合生理学教授。東海大学医学部にて呼吸の臨床にたずさわり、筑波大学基礎医学系にて呼吸の脳生理学の研究を行なう。その間ニューヨーク州立大学に留学。
著書に『セロトニン欠乏脳』(NHK出版)『共感する脳』(PHP研究所)『脳からストレスを消す技術』(サンマーク出版)『歩けば脳が活性化する』(ワック)などがある。

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