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「脳の疲れ」がスーッととれる!“癒しホルモン”オキシトシンの増やし方

2012年08月17日 公開

有田秀穂(東邦大学医学部教授)

オキシトシンを分泌させるつき合いとは?

 母子の愛情や男女間の愛情の交流だけでなく、仲間と飲んだり食べたりしながら話すこともグルーミングになります。とくに、高級レストランなどよりも、狭くてカウンターで肩を寄せ合うように飲み食いするような赤提灯や居酒屋のほうが、グルーミング効果があるのです。

 こうしたグルーミング行為で、最初にオキシトシンが分泌されますが、それによって信頼感や幸福感が高まるのです。そしてセロトニン神経も活性化されるので、気分が安定することにもなるわけです。

 日本人は昔から脳科学の知識などなくても、そうした狭い空間で癒しを求めてきたということもできます。

 また、日本には伝統的に「茶の湯」があります。四畳半という触れ合わんばかりの狭い空間に3~4人も入って、ただお茶を飲むだけですが、グルーミングになっていて癒し効果があるだけでなく、人と人との信頼を生み、絆を育む効果があるのでしょう。

 「茶の湯」の文化は、千利休が直感的にたどり着いたのでしょうが、結果的に、オキシトシン効果を生みだすものだったのです。

 

オキシトシンが分泌されない社会環境

 ところが、現代生活では、オキシトシンの分泌が少なくなる環境になっています。それはパソコンが普及して、ネット社会が進展してきたことと軌を一にしています。パソコン社会になる前は、仕事を進めていく上でも、人と直接会ってコミュニケーションをとらなければならないことが多かったものです。よかれ悪しかれ、人間関係が伴っていました。

 ところが、いまでは直接会話するよりも、パソコンや携帯を通してということが多くなっています。メールだけでやりとりして、一度も相手と会わずに仕事ができるようになっています。

 あなたの職場を振り返っていただいても、ほとんど一日中パソコン相手に仕事をしていて、隣の同僚とも直接話すよりも、パソコンのメールでやりとりをしたりすることが多くなっているのではないでしょうか。そんな状況が日常化しています。

 仕事だけでなく、恋愛もお互い会わずにネットでできるわけです。つまり、フェース・トゥ・フェースのコミュニケーションが失われつつあるのです。

 ことにメールだけを介してのコミュニケーションでは、言葉だけ、論理だけのコミュニケーションになりがちで、そこに感情のニュアンスが入りにくいのです。それではオキシトシンはほとんど分泌されず、癒しは得られません。人を愛する、人を信頼する、人のために何かしてあげるなどという気持ちが起こらないのです。残念ですが、そういう社会が実際に進行しているのです。

 オキシトシンが関与しない人間関係が多くなり、会社も同様の環境です。家でも家族がいても孤立していたり、あるいは一人暮らしが多くなってもいます。

 いま、いろいろな問題が起こっているのは、オキシトシンが分泌されないような社会環境になっているからといえるのではないでしょうか。

著者紹介

有田秀穂(ありた・ひでほ)

東邦大学医学部統合生理学教授

1948年、東京生まれ。東京大学医学部卒業。現在、東邦大学医学部統合生理学教授。東海大学医学部にて呼吸の臨床にたずさわり、筑波大学基礎医学系にて呼吸の脳生理学の研究を行なう。その間ニューヨーク州立大学に留学。
著書に『セロトニン欠乏脳』(NHK出版)『共感する脳』(PHP研究所)『脳からストレスを消す技術』(サンマーク出版)『歩けば脳が活性化する』(ワック)などがある。

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