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「自分に合う仕事が見つからない人」が抱えている潜在意識の共通点

安廣重伸(天職コンサルタント)

2024年07月17日 公開 2024年12月16日 更新

「自分に合う仕事が見つからない人」が抱えている潜在意識の共通点

多くの人が抱える「天職が見つからない」という悩み。その原因は、実は「潜在意識」にあると、安廣重伸さんは語ります。本稿では、書籍『今すぐ会社を辞めたい人の天職診断』より、潜在意識のしくみや、ネガティブ思考を書き換える手法を紹介します。

※本稿は、安廣重伸著『今すぐ会社を辞めたい人の天職診断 パーソナルタイプから導く隠れた才能の見つけ方』(KADOKAWA)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

天職に出会えない理由は「潜在意識」にあった

天職と出会うためのカギが「潜在意識」です。潜在意識を書き換えることで、叶えたい現実を引き寄せる力が高まるのです。潜在意識は、私たちが自覚できていない意識・願望のことであり、人間の意識の約95%を占めていると言われています。

たとえば、お風呂に入ったとき「首から洗って、腕を洗って、最後に足を洗おう」などと考えることはありません。しかし、無意識にいつも同じ手順で体を洗っているはずです。また、車の運転をするとき「アクセルは右で、ブレーキは左」などと常に意識しながら運転しないでしょう。何かあれば、とっさにブレーキを踏むことができます。

このように、脳が消費するエネルギーを最小限にとどめたり、とっさの危険を回避したりするために、脳内では常に潜在意識が働き、あらゆる行動を「制御」しているのです。

一方、顕在意識は、人間の意識の5%程度と言われています。自覚できる意識のことであり、何か新しいことを覚えるときなどに使われます。

さて、天職を見つけるために、潜在意識を書き換える必要があるのは、なぜでしょうか。

それは潜在意識がネガティブのままでは、天職があなたの目の前に近付いてきても、気付かずに見過ごしてしまうからです。たとえ気付いたとしても「これは天職ではない気がする」と考え、素どおりしてしまうことが往々にしてあります。

潜在意識に「どうせ自分には天職なんてない」「転職しても失敗するかもしれない。嫌だけど今の仕事を続けていたほうがいい」などネガティブな心理が隠れていると、どんな仕事も悪い部分ばかりに目を向けてしまうのです。重箱の隅をようじでほじくるような潜在的リスクを心配して、「この仕事はやめておいたほうがいい」という結論を下しやすくなります。

なぜ、そのようなことが起こるのでしょうか。それは、潜在意識というものがリスクを過度に恐れ、失敗しづらい道を選ぶ性質があるからです。この特性により、天職探しも阻まれてしまうのです。

太古のホモ・サピエンスは、自分たちを襲う捕食者がいる野生環境の中で、常に「死」と隣り合わせでした。そのため、どちらに転ぶかわからないチャレンジは避け、「失敗のリスクが低い確実な方法」や「過去に成功した方法」を選ぶことで生き延びてきました。つまり、マイナス思考は「死を回避するための本能」であり「戦略的進化」とも言えるでしょう。

このように、潜在意識が私たちのDNAに深く刻み込まれた本能と理解すれば、天職探しをせずに「現状維持」に傾くのは自然なことなのです。

誰もが、生存確率を高めるために、本能に従って、一歩を踏み出すことを避けがちです。そのため、天職を見つけるには潜在意識をポジティブに書き換える必要があります。新しい道を選んだっていい。自分にはもっと可能性がある。失敗しても、仕事はいくらでもある。このように、前向きな潜在意識に書き換えることが大切なのです。

 

脳トレワーク「現在」ワーク(マインドフルネス)

ポジティブな潜在意識に書き換える方法の1つが「マインドフルネス」です。これが最も基礎的なワークになります。

マインドフルネスとは「今、この一瞬」に集中している状態のことです。多くの人が「座禅を組んで、無我の境地を目指す、神秘的な修行」という、とても難しそうなイメージを抱きやすいのですが、それは誤解です。

マインドフルネスは、あくまで「何か1つのことに集中している状態」のことであり、集中できるなら、姿勢や方法にこだわる必要はありません。もちろん、座禅を組む必要もありませんし、そもそも「無我」になる必要もありません。たとえば、スポーツをする、絵を描く、歌を歌うなど、1つのことに集中している状態であれば、それはマインドフルネスなのです。

このマインドフルネス状態を、自ら作り出せるようになると、仕事で最高のパフォーマンスを発揮できるほか、ストレス耐性や自己肯定感、感情コントロール力が高まることが、世界中のあらゆる研究で明らかになっています。

マインドフルネスは、その効果の高さや再現性から、前述したとおりグーグル、アップル、ヤフー、メルカリ、メタ(旧フェイスブック)、インテルなど、世界中の一流企業が社員のパフォーマンスを高めるために取り入れています。

このマインドフルネスの力が「自分にも天職が見つかる」という前向きなメンタルを醸成するため、天職探しには欠かせないものだと、私は考えています。

本稿では、このマインドフルネス力を身に付けるワークを「現在」ワークと呼んでいます。「今、この一瞬」に集中できることを目指すからです。

「現在」ワークの取り組み方は簡単です。どんなことでもいいので、自分が決めたことだけに没頭し「集中」してください。

たとえば、散歩ならば「左足、右足、左足、右足」と、自分の「足」を顕在意識に従って動かしてみましょう。ここでポイントになるのが、能動的に頭を働かせることです。何も意識せず、ただ歩くのは潜在意識の営みです。

一方「左足、右足、左足、右足」と心の中で、もしくは声に出して唱えながら、足を動かすというプロセスを踏むのが、顕在意識への働きかけとなります。それが、あなたのマインドフルネス力を高めます。

また、「呼吸瞑想」もおすすめの「現在」ワークです。

呼吸瞑想は、次のような手順で行います。

【呼吸瞑想の手順】
①背筋を伸ばして目を閉じた状態でいすに座る
②鼻から3秒かけて息を吸う
③1秒息を止める
④鼻から6秒かけて息を吐く

ただ呼吸をしているだけでは散歩同様、潜在意識の領域ですが、息を吸う、吐くという行為にきちんと意識を向けることで、マインドフルネス力が高まっていきます。

簡単なマインドフルネスに慣れてきたら、ドラマの世界に没頭するマインドフルネスにチャレンジしてみるのもおもしろいと思います。受け身でドラマを見るのではなく「次は、こんな展開になりそうだ」など、ドラマの行く末を予想しながら鑑賞するのです。

この登場人物は「なぜ、こんな発言をしたんだろう」と、言葉の裏を想像してみるのもいいと思います。雑念が入ったら「集中、集中」と心の中で唱え、ドラマの世界に意識を戻してください。ドラマの世界に没頭しつつ、展開を予想することで、マインドフルネス力が高まっていきます。

そして、呼吸瞑想にせよ、ドラマに没頭するトレーニングにせよ、どれだけ集中しようとしても、途中で必ず雑念が入ってきます。慣れるまでは、30秒に1回、もしくはそれ以上のペースで「関係のないこと」が頭に浮かんできます。「明日の予定なんだっけ」「外から救急車の音が聞こえる」「今日の仕事は大変だったなぁ」といった感じです。

ここで大切なのは「雑念が入ってはダメ」ということではなく、雑念が入ったらなるべく早く自覚をして、「集中、集中」と心の中で唱え、ワークに意識を戻すことです。

「雑念が入ったら集中し直す」を反復することこそが、まるで腕立て伏せのようにマインドフルネス力を強化するのです。ワークとして取り組む内容は何でも構いませんが、以下の例を参考にして「1日5~10分」くらいを目安に取り組んでみてください。

 

【「現在」ワーク(マインドフルネス)の例】

・片足立ち/閉眼片足立ち
安全な場所で、片足立ちをしてバランスを取る。30秒ごとに左足、右足で「1セット」。それを1分間行う。難なくできる人は、目を閉じて片足立ちを行う(転倒しないように注意)。初心者に最もおすすめ。

・散歩/ランニング
「左足、右足、左足、右足」と心の中で唱えながら、足を動かす。

・呼吸(10秒呼吸法)
3秒かけて鼻から息を吸い、1秒息を止め、6秒かけて鼻から息を吐くことに集中する。

・ドラマ鑑賞/読書
登場人物が発した「言葉の意味」や「今後の展開」を予想しながら楽しむ。

・歯みがき
「上の奥から2番目の歯の裏側を今から10秒みがく。次は3番目の歯」といった具合に、一連の歯みがきを「実況中継」しながらみがく。

・編み物をする
手を動かし、編み物を完成させることだけに集中する。

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