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「ゆっくり話す人」がいると会議がスムーズに進む理由

2012年11月06日 公開

小林弘幸(順天堂大学医学部教授)

小林弘幸 話し方 プレゼン

自律神経のバランスを整えることによって、心身ともに健康になることができると語るのは、順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏。

自律神経のバランスを整えるためには、「ゆっくり」が重要です。なかでも、健康面だけではなく大きなメリットがある「ゆっくり話す」ことについて紹介します。

※本稿は、小林弘幸 著『「ゆっくり動く」と人生が変わる 副交感神経アップで、心と体の「不調」が消える!』(PHP文庫)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

「ゆっくり」で人生が変わる

今、私が医師として、「一瞬で人生を変える鍵は何ですか?」と訊かれたら、それはずばり「ゆっくり」だとお答えします。

話す、歩く、食べる……そういうさまざまな動作のペースを落として、「ゆっくり」と動くことを意識するだけで、本当に、一瞬で、人生が良い方向にどんどん変わり始めます。

体が健康になり、精神は安らかになり、仕事や勉強、家事や育児のパフォーマンスも上がります。

人間関係がよくなり、周りに好影響を与えられるようにもなります。

つまり、「ゆっくり」を意識するだけで、人生のさまざまなことが「うまくいく」ようになるのです。

こうお話しすると、多くの方は「信じられない」とおっしゃるかもしれません。しかし、これは私がここ10年進めてきた自律神経の研究で明らかになってきたことなのです。

そして、その驚くべき効果を、順天堂大学の「便秘外来」をはじめ、さまざまな臨床の現場で日々再確認しています。また、私が担当させていただいているトップアスリートやアーティストのコンディショニング指導においても、「ゆっくり」は着実に成果を上げています。

「先生のおかげでパフォーマンスが向上しました」という彼らの言葉が、その何よりの証拠でしょう。

 

 さまざまな動作の中でも、「話す」が特に重要な理由

ただ、現代日本は何かとせわしないスピード社会です。すべての動作をいきなり「ゆっくり」に変えるのは難しい、と感じた方もいるかもしれません。

では、「ゆっくり」を実践していくうえでは、まずどの動きから始めるのがいいのでしょうか。

私のイチオシは、「ゆっくり話す」ことです。

歩く、食べる、お風呂に入る……など、私たちは毎日さまざまな動きをしています。そのなかでも、「話す」はゆっくり行うことによって得られるメリットが特に大きいのです。

何をかくそう、私自身がそのプラス効果を日々実感しています。

ゆっくり話すと、自然と呼吸がゆっくりになります。そして、ゆっくりとした深い呼吸は何より副交感神経の働きを高めてくれるので、自律神経のバランスも整います。すると、細胞のすみずみにまでいい血液が流れるようになり、結果的に心身の最高のパフォーマンスが引き出されるのです。

 

「ゆっくり話す」だけで、説得力と信頼感がアップする

「ゆっくり話す」ことで得られるメリットは、ほかにもたくさんあります。

◎ポイントを簡潔に述べられるようになり(=話がわかりやすくなり)、自分の言いたいことか相手にきちんと伝わるようになる

◎説得力と信頼感が増し、相手を納得させる話ができるようになる

◎余計なことを言わなくなり、無用な失言をしなくなる

◎どんな相手とも、感情的にならず、冷静な話し合いができるようになる

◎エレガントな印象を相手に与えられる

◎異性からの好感度が上がる……etc.

「ただゆっくり話すだけで、そんなにいろいろと『いいこと』が起こるものかなあ?」と思われたかもしれません。

そんな方のために、ここからはさまざまな例を挙げて、「ゆっくり話す」ことのメリットを解説していきます。

まず、何かの会議に出たときのことを思い出してください(職場でも学校でも地域でも、どんな会議でもかまいません)。

あなたはどのように話していますか。「何かひと言いわなければ」「自分の考えを十二分に伝えなければ」と焦っていませんか。そして、会議の序盤からパーッと早口で自分の意見を述べたりしていませんか。

では、その結果はどうでしょう。自分の思っていた方向に会議の結論が向かいましたか。会議のほかのメンバーは、あなたの意見に納得してくれましたか。おそらく、「そうではない」という方がほとんどではないでしょうか。

会議でも、「ゆっくり話す」ようにすることがきわめて重要です。

具体的には、まずはほかの人の意見にゆっくり耳を傾ける。次に、それをもう一度、自分の頭の中でゆっくり噛み砕いて考える。

さらに、自分が話すべき内容をゆっくり整理し、最小限のポイントにまで絞り込む。そこまでできて初めて、「ちょっと、よろしいですか――」というふうにゆっくり話し始める。

すると案外、人の心に訴える的を射た意見がパンと言えるものなのです。

それはなぜかというと、その根底にあるものはやはり、呼吸と自律神経です。「ゆっくり話す」と、呼吸が整い、自律神経が整います。

そうすると自然に、周りがよく見えるようになり、頭と五感のパフォーマンスも上がり、結果、余計なことを言わないで、ポイントだけを言えるようになるからです(ゆっくり話すようにすると、一度に話せる語数が少なくなるので、自然と重要なポイントだけを簡潔に述べるようになるという効果もあります)。

しかも、いい自律神経は、周りにも伝染しますから、ゆっくり話す人の言葉を聞いている人の心も、どんどん落ち着いてくる。だから、ゆっくり話す人の言葉は、説得力をもって、相手に浸透するというわけなのです。

 

モテる男、魔性の女に、早口の人はいない

美貌に恵まれているというだけでなく、なぜか人の心を惹きつけてしまう魅力を持った、いわゆる「魔性の女」といわれるような女性がいます。

そういう人に、おそらく、早口の人はいないと思います。

銀座や六本木のナンバーワンといわれるような女性も、よく観察してみると、非常にゆっくり話していることがわかります。

ゆっくり話す彼女たちは、つねに自然な呼吸ができ、自律神経が安定しているため、自分を見失うことがありませんし、相手のこともよく見えています。ですから、つねに自分のペースを崩さず、相手の気持ちを上手にコントロールすることができるのです。

これについては、以前、ビートたけしさんの『たけしのニッポンのミカタ!』(テレビ東京)というテレビ番組で、こんな実験をしたことがありました。

男性客から非常に人気のある接待業の女性と、あまり人気のない女性。そのふたりに、最初はそれぞれ、いつもどおりの接待をしてもらいます。

そして、それをVTRで比較すると、明らかに、人気のある女性のほうが、ゆっくり話していますし、聞き上手なのです。ですから、当然、会話もどんどん弾んでいきます。

逆に、あまり人気のない女性は、早口で、相手の話がよく聞けておらず、相槌を打つタイミングも非常に悪い。当然、会話も弾まなくなり、場が白けてしまいます。

でも、そんな彼女に「ゆっくり話す」ということをアドバイスした途端、彼女の接客が、見違えるようによくなったのです。人の話がよく聞けるようになり、相槌を打つタイミングもよくなり、結果、会話もどんどん弾むようになったのでした。

つまり、あまり人気のなかったほうの女性は、何か話さなければ、話さなければと焦ってしまって、つい早口になり、相手の話の腰を折るような、余計なことまで話してしまっていたのです。

でも、ゆっくり話すことを意識した途端に、人気のある女性のように、「人の話をまず聞く」という、聞き上手の姿勢に変わることができた。

結果、見違えるように、指名をしてもらえるようになった――。このように、ゆっくり話すということは本当に、それくらいその人のコミュニケーション能力を上げ、「魅力」を高めてくれるのです。

これはもちろん、男性も同じです。モテる男性に、早口の人はまずいません。ホストの男性を見ていても、ナンバーワンといわれる人は、ほとんどしゃべらない。話すときも、本当にゆっくり話しているはずです。

でも、もしかしたら彼らも新人の頃は、焦って早口だったかもしれません。しかし、いろいろな経験を積んでいく中で、「どういう感じで話すのがいちばん

女性の心に響くか」ということがわかり、余計なことは言わなくなった。ゆっくり、ポイントのみを話すことが、いちばん相手に共感され信頼される、相手の心に浸透するということを、身をもって習得したのだと思います。

大変な知識があっても、その知識をベラベラと餞舌に早口で話している人は、案外、信用されないものです。一方、たとえそれほど知識がなくても、ゆっくり話す人は、「あ、なんだか、この人信用できそうだな」と思われたりします。

つまり、人に信頼されたり、モテる秘訣も、じつは「ゆっくり話す」ことが、基本にあるのです。

それに、ゆっくり話さないと、「本当の笑顔」もつくれません。

人の心を魅了する本当にきれいないい笑顔、セクシーで、エレガントな仕草、それらも、やはり、ゆっくり話すことから始まります。

つまり、「ゆっくり話す」「ゆっくり動く」ということは、いろんな相乗効果で、その人のほかの良さ=潜在能力までも引き出してくれるのです。

 

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