ピンチを背負った状況から、逆転のヒントを見出し、チャンスに変える。そんな理想的な大逆転を実現させるためには、どんな能力を鍛えるべきなのだろうか。あの「スイカゲーム」を開発した連続起業家・程涛氏の著書より、「発想の種」に気づくためのコツを解説する。
※本稿は、程涛著『道具としてのアイデア』(日経BP)より一部抜粋・編集したものです。
「CQ」好奇心をチャンスに変える力。より良い道を探るレーダー
AQが逆境に負けない力である一方、「CQ(Curiosity Quotient)」は好奇心をチャンスに変える力です。
例えば、困難に直面しているとき、AQはマイナスをゼロにして行動し続けるエンジンになりますが、CQはネガティブな状況の中からも逆転のヒントを見つけ出す助けとなります。つまり、マイナスをゼロではなく、プラスに、それも2倍3倍のプラスに変えられるアイデアを探し出してくれるのです。
CQの概念を提唱し始めたのは、社会心理学者でロンドン大学やコロンビア大学で研究を続けるトマス・チャモロ=プリミュージク教授です。私はちょうどAQを知ったのと同じ頃に、この言葉に出合いました。
信念を実現する過程で諦めず、行動し続けられる人はAQが高い。
しかし、成功している人たちは、別のマインドも備えているように感じていました。
それはチャンスを見逃さない観察眼のよさであったり、他とは違う解決策を見つける創造性であったり、「ここぞ!」という場面を逃さない思いきりのよさです。
日常でも、困難な状況でも、CQの高い人は隠れたチャンスや解決策を探し出すことができます。
「おもしろそうだから試してみよう」
「あれ? この方法とこのやり方を組み合わせたらうまくいくかも?」
「大ピンチになって注目を浴びている今こそ、大チャンスにひっくり返るのでは?」
こうした新しい可能性を探知する力は一体どこからくるのだろうか。
CQという概念を知ったとき、成功する人たちのマインドの根底には、レーダーのように働く「好奇心」があることに気づきました。
好奇心を持ってあらゆる状況からチャンスを見つけ出す。
そして、隠れていた可能性を探知する。
それを現実的な解決策に変換する力。
このレーダーのような機能を備えたマインドセットがCQの本質です。
CQを鍛える3つの方法
もちろん、CQもAQと同じく鍛え、育てていくことができます。
私が実践している方法は、3つ。とてもシンプルなものです。
1:「なぜ?」を3回繰り返す習慣で、好奇心を枯渇させない
2:課題を解決する「新しい切り口」を探す
3:すべての経験に「意味づけ」をする
CQの出発点は、好奇心です。ところが、社会に出ると一定のルーティンの中で物事を考えるようになり、「なぜ?」という好奇心が湧いてくる場面が減っていきます。
そこで、好奇心を持ち続けるために必要なのが、1つ目の「なぜ?」を3回繰り返す習慣。この思考実験を繰り返すと、CQの根本にある「好奇心のアンテナの感度」が上がっていくのです。
2つ目の「課題を解決する『新しい切り口』を探す」は、モノが豊かにある現代に不可欠な視点です。
ここで、既存の考え方に固執せず、新しい視点から課題に向き合う姿勢を育てます。例えば、私たちが手がけている「スマートバスマット」は、新しい切り口から「体重計」という概念を何度も見直した結果、誕生した商品です。新しい切り口を導入することで、最終的に「体重を表示しない体重計兼バスマット」というユニークなアイデアにたどり着きました。
また、このプロセスでは、「なぜ?」を3回繰り返して、好奇心を膨らませながら、課題と新しい切り口を見つけ出し、調査した利用者の声を具体的な解決策に結びつけていきました。1と2の組み合わせは、CQを鍛える実践的な方法です。
そして3つ目の「すべての経験に『意味づけ』をする」。これは、すべての経験に「今後の自分に役立つ要素」を見つける習慣です。
自分の経験に対する「意味づけ」は、脳が自然に行っている処理でもあります。失敗も成功も1つずつ振り返っていくことで、すべてが将来の糧になります。







