「どうして自分だけがこんな目に...」他人に裏切られたり、物事が思い通りに運ばなかったとき、心の奥からふつふつと怒りが湧き上がってくることはないでしょうか。その怒りを相手にぶつければ「売り言葉に買い言葉」となり、口喧嘩へと発展することも。
怒りの感情とは、いったいどう向き合えばいいのか。書籍『その悩み、ほとんどあなたの妄想かもよ?』から、その対処法を紹介します。
※本稿は、大愚元勝著『その悩み、ほとんどあなたの妄想かもよ?』(アスコム)より内容を一部抜粋・編集したものです。
人生は思いどおりにならなくて当たり前
怒りとは、自分の心の中で起こる火事のようなものです。放っておくと、燃え盛る炎がどんどん大きくなっていってしまい、簡単には消せなくなってしまいます。
大切なのは、火事を起こさないようにする予防策と、起こってしまったときの素早い初期消火です。
大前提として、「人生は自分の思いどおりになることなどほとんどない」そして「他人は自分の思いどおりになどならない」ということを心に留めておきましょう。これがなによりの予防策、不要な怒りを持たないで済む方法になります。
「家族は、友人や恋人は、同僚や部下は、私の思いを理解してくれるはずだ」「私がこれだけ尽くしたのだから、相応の見返りがあるはずだ」などと、他人に対して都合の良い期待をしないことです。
期待をしたことが実現されないから、「どうして私の思いどおりにならないんだ!」という失望が生まれ、それが怒りになってしまうのです。
決してマイナス思考を推奨しているわけではありませんが、最近は理想を追い求めすぎて世の中の明るい部分ばかりを見て生きている人が増えた気がします。
しかし、人生はそんなに甘くはありません。
私が申し上げたいのは、なんでも自分の都合の良いように考える楽観思考になりすぎないように、ということです。
それでも、人間ですから腹が立つ瞬間は訪れるでしょう。怒りの感情がこみ上げてきてしまったら、できるだけ火種の小さいうちに消火をすることがとても大事です。
火事は、酸素と乾燥した燃えやすいものがなければ燃え広がりません。ほどなくして火は消えます。怒りもそれは同じで、一瞬カッとなって火がついたとしても、"燃料"になるものを投下しなければ長続きはしません。
ですので、そんな状況を自らつくってあげましょう。
対象が物であれば、それを遠ざける。対象が人であれば、その場から離れる。
これが最善策になります。
大事なのは怒りに燃料を投下しないこと
例えば、夫婦で意見が食い違って、口喧嘩になったとしましょう。お互い相手に対して怒っていて、一歩も引かなかったとします。
しかし、その際にくり出される「売り言葉に買い言葉」が、怒りの燃料になっているのです。
最初は「今日の洗濯物を洗濯カゴに入れていなかった」のが発端だったとしても、「そういえばこのあいだはゴミの捨て方が間違っていた」とか「前から思っていたけど食器の洗い方が雑だ」などと、その日の話とは関係のないネタが燃料としてどんどん投下され、ボヤで済むはずが、大火事に発展してしまうわけです。
こうなると、喧嘩に勝つこと、あるいはなんとかして自分が正しいことを認めさせることが目的になり、相手に打ち勝つためにあらゆる材料を探して火にくべている状態になります。
まさに、不毛の争いです。
ここで大事なのは、「自分で燃料を投下している状態」になっていることに気がつくことです。
気がついたらまず、その場から一度離れましょう。「逃げるの?」などと言われても無視をして、なにか言い返したくなる気持ちもグッとこらえて、一目散に退避してください。
そして、相手のいない場所に移ったら落ち着いて深呼吸。すると、さっきまでカッカしていた自分がまるで嘘のように、冷静さを取り戻すことができます。
相手もそれは同じ。
燃料さえくべなければ、怒りの炎は鎮まるものなのです。
「単純作業」で心と体を切り離す
深呼吸以外では、体を動かすことも効果的で、私は「掃除」をお勧めしています。
怒りの対象から離れても、ひとりで部屋にこもってじっとしていると、「でもちょっと待てよ、やっぱりどう考えても私は悪くない」などと、また燃料投下が始まってしまうんですよね。
こうなるともう相手はいないので、完全にひとり相撲です。そうならないために、例えば床や机の隅に溜まっている埃をひたすらきれいにする、服を整理整頓するなど、掃除や片づけに集中して、たんたんと体を動かしてみましょう。
すると、心と体が切り離されるので、余計なことを考えずに気持ちを落ち着かせることができます。実際に部屋もきれいになるので、一石二鳥です。
仕事中であれば、あまり考えずにできるようなルーティンワークに取り組むのがいいと思います。
また、水に触れることでも心を落ち着かせることができるので、流水を手で触る、あるいは温かいお風呂に浸かって、リフレッシュするのもいいでしょう。
怒るのは良くないことだと考え、「怒っちゃだめ」と自分に言い聞かせて我慢しようとする方もいらっしゃいますが、これはもう火が付いてしまっているのに、「燃えないで!」と念じているだけの状態なので、正直効果はありません。
最初にお話ししたとおり、怒りは本能によるものなので、なくすことができないのです。
それよりも、予防策と初期消火を意識するほうが、自分にとっても相手にとっても良い結果をもたらします。
家族、パートナー、友人、同僚、上司や部下、憧れの芸能人―相手が誰であっても、自分の思いどおり、理想どおりにはなりません。
怒りの感情が生じたときは一歩引いて「自分の妄想が原因だな」「自分に都合の良い期待をしてしまっているな」と認識すること。
そして相手と喧嘩になってしまった場合には、燃え広がるような燃料を投下せず、その場から離れて冷静になること。これが、怒りで心を消耗させない秘訣です。








