“話すのが苦手”でも雑談を楽しめる プロが教える「話を引き出す質問のコツ」
2026年04月24日 公開
雑談と聞くと、「自分も何か発言しなきゃ...」「楽しい話をしないと...」と思うかもしれません。ところが、雑談には「話す」以外の役割があり、「雑談が苦手なら無理して面白い話をしようとせず、”聞き専”から始めればいい」と、コミュニケーションコンサルタントのひきたよしあきさんはいいます。
では、聞き専を目指すにあたり、どのようなことを意識すればよいのか――本稿では、楽しく会話を続けるための質問術を解説します。
※本稿は、ひきたよしあき著『「何を話していいかわからない」がなくなる 雑談のコツ』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
雑談でトスを上げ続けられるかは、「質問の技術」にかかっている
「この人と話をしていると、なんだか楽しい」という人がいます。話をしていると楽しい人って、どういう人でしょうか。
・面白い話を、たくさんしてくれる人
・テンションが高く、盛り上げ上手な人
たしかにそういう人も、会話が楽しい人ですよね。
もうひとつ、こういうタイプの人も会話の楽しい人です。それは、「会話のトスを上げ続ける人」。一緒にいると会話が弾むのだけど、よくよく考えてみると、相手は「会話のトス」を上げてくれているだけで、つい自分がおしゃべりになって話してしまう。こういうタイプの人です。
話すのが苦手ならば、会話のトス=相手に聞く、質問することで雑談に加わればいいわけです。では、具体的に相手に質問を続ける方法を紹介します。
まず、気をつけたいのは、答えがYES・NOで終わってしまう質問は、すぐに会話が終了してしまう可能性があるので、避けたいところです。
「もう、お昼食べましたか?」
「あなたの嫌いなものはキュウリですか?」
「明日って、水曜日でしたっけ?」
という質問に対しての答えは、「はい」「いいえ」だけで終わってしまいます。それを防ぐために、質問するときには、英語の「5W1H」を使います。5W1Hとは「When、Where、Who、What、Why、How」のことです。この「5W1Hを活用しましょう」ということはよく言われます。
ただし、いざ質問をするときに、5W1Hがいまいちパッと思い出せないという話をよく聞きます。英語だとイメージしにくいのかもしれません。そこで私は、こう覚えてくださいとすすめています。
・When(いつ)→「時間の質問」
・Where(どこで)→「場所の質問」
・Who(誰と・どんな人と)→「人の質問」
・What(何を)→「モノの質問」
・Why(なぜ)→「理由の質問」
・How(どのように)→「手段の質問」
時間、場所、人、モノ、理由、手段。そう覚えておくのです。使い方は、こんな感じです。「私は、前職で営業をしていました」と相手が話したら、
「いつまで(その仕事を)されていたのですか?」(時間の質問)
「どこで(その仕事を)されていたのですか?」(場所の質問)
「どんな人と一緒に仕事をされていましたか?」(人の質問)
「営業で、何を売っていたのですか?」(モノの質問)
「なぜ、今の仕事に変わられたのですか?」(理由の質問)
「どのようにして、今の仕事に変わられたのですか?」(手段の質問)
というように、「6つの切り口」から質問を作ることができます。質問をゼロから考えるのではなく、まず「6つの切り口」に当てはめて質問する。相手が、質問に答えるように話してくれたら、その内容から、また「6つの切り口」を考える。これであなたは、会話のトスを相手に上げ続けることができます。たとえば、先ほどの「前職が営業」という話の続きであれば、こんな感じです。
相手「私は、前職で営業をしていました」
あなた「なぜ、今の仕事に変わられたのですか?」(理由の質問)
相手「この仕事をやりたいと思っていたからです」
あなた「それは、いつからそう思っていたんですか?」(時間の質問)
相手「10年ほど前からです」
あなた「今は、どんな人と一緒に仕事をしているんですか?」(人の質問)
話の最後に質問を付け加える
会話のトスを上手く上げる方法が、もうひとつあります。それは、「自分の話の最後に、必ず質問をつける」という方法です。たとえば、以下のようなイメージです。
例:昨日のサッカーの試合の話をふられる
「テレビで見ました。私は大興奮でしたが、○○さんはいかがでした?」
例:リモート会議について意見を求められる
「リモート会議のほうが個人的にはうれしいのですが、みなさんはどうお考えですか?」
自分の話の最後に質問を入れ、会話を回していくイメージです。会話のトス役に徹すると、特に自分から話さなくても、口下手に見えません。それどころか、話を回しているように見えます。ぜひ、質問を上手く使って、相手の話を盛り上げる技を身につけてください。
経営学者、経営コンサルタントのピーター・ドラッカーは、こう言っています。「コンサルタントとしての私の最大の長所は、無知になり、いくつかの質問をすることである」雑談も同じ。無知になって、相手にどんどん質問する。そうすれば、相手にも喜んでもらえるはずです。
雑談の極意は「聞き手の好奇心」にあり
会話を大きく分類すると2つに分かれます。対話と雑談です。対話は、相談すること。雑談は、教えてもらうこと。学生たちに、私はこう教えています。対話は、対等な立場でお互いが意見交換しながら、共通のゴールに近づく相談をすること。会議で売り上げを上げるための議論をすること、相手とWIN−WINの関係を構築する交渉、夫婦で子どもの教育について話し合いをすることは、対話です。
一方、雑談は、決まった目的やゴールがない会話です。雑談で大切なことは、相手に気持ちよくなってもらい、親睦を深めること。だから雑談では、相手に「教えてもらう」という態度を示すことは、極めて有効です。人は、誰かに何かを教えることが好きな生き物です。
・教えることで、「感謝されたい」という欲求が満たされます
・教えることで、自分に自信が持てます
・教えることで、頭のよさを示せます
・教えることで、「いいことをした」という自己肯定感が高まります
人に何かを教えるって、気持ちがいい行為なんです。だから、相手を「教える立場」にしてあげる。これも、雑談が上手くいく極意です。
相手が「もっと話したいこと」を見つける
相手が教えたいことを探すコツは、こんな感じです。
たとえば相手が、「このところ出張続きで、さすがにバテ気味です」と、言ったとします。この言葉には、「疲れている」という内容のほかにもうひとつ、「がんばっている私を認めてほしい」という意味が含まれているかもしれません。このとき、あなたが何を教えてほしいと伝えたら、相手は喜ぶでしょうか。そのためには、こんな感じで聞いてみてください。
「教えてほしいんですが、出張続きなのに、どうしてそんなに元気なんですか。何か健康のためにやってるんですか?」「教えてほしいんですが、出張先のホテルを選ぶコツってありますか?私、いつも失敗してるんですよ」と、「教えてほしいこと」を質問する。
このときのコツは、「自分が聞きたいこと」ではなく、「相手がしゃべりたそうなこと」を探すことです。ポイントは、次のような気持ちをくすぐること。
・認められたい
・ほめられたい
・共感されたい
・同情されたい
この4つのポイントを「察する力」を磨くことです。ただし、毎回、相手の気持ちにジャストフィットする質問ができるわけではありません。ひょっとして、外れちゃうことのほうが多いかもしれません。でも、そこでがっかりしないでください。
相手の気持ちになって考えた経験は、確実にあなたの雑談レベルを上げています。「しまった、ちょっと当たりが外れたかも」と思うたびに、あなたの中で、チャリンチャリンと経験値がたまっているのです。経験値の貯金は、自分にとってすごい価値になるはずです。






