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うつ病を予防する3つの方法

和田秀樹(精神科医/国際医療福祉大学大学院教授)

2013年07月03日 公開 2022年09月29日 更新

3.外出して太陽光に当たる

うつ病の中には、冬季に起こるタイプの冬季うつ病というものがあります。日照時間が減少することが影響していると考えられています。

冬季に起こる季節性うつ病の治療には、照明装置で強い光を浴びる「高照度光療法」が用いられることがあります。光を浴びることで、体の状態を整えていこうとするものです。睡眠障害の人にも光療法は用いられます。

欧米でうつ病が多い理由の1つに、部屋が薄暗いことが関係しているのではないかと私は考えています。日本では南向きの家が好まれますが、欧米では南向きの家はどちらかというと敬遠される傾向があります。また、室内は間接照明が多く、薄暗い状態が好まれます。

光が少なく薄暗いところでずっと過ごしていれば、気分が沈んでしまう人もいるはずです。

光を浴びる一番簡単な方法は、外出すること。昼間に外に出れば、自然に太陽光を浴びることができます。外に出て散歩をすれば、多少の運動にもつながりますし、気分も爽快になり、うつ病の予防にもつながります。

うつ病の治療法の1つとして、運動療法というものもあります。確立された治療法ではありませんが、日本うつ病学会治療ガイドラインの中にも載っている治療法であり、今後、研究が進めば運動療法の効果が明確になってくるかもしれません。

うつ病の治療にどの程度効果があるかどうかはともかく、適度な運動が体の健康に良いことは明らかですから、ときどき外出してウォーキングなどをするといいでしょう。

室内で仕事をしなければならない人や、家の中にいなければいけない人は、カーテンやブラインドを開けて部屋の中に太陽光をたくさん取り込んでください。

 

うつ病になってしまったら…

ただし、どんなに一生懸命に予防をしていても、何らかの要因が重なって、うつ病になってしまうことは少なくありません。むしろ完全な予防ができない生物学的な病気と考えるべきです。

そういうときには、できるだけ早い段階で、軽いうちに治療することが大切です。

うつ病は、自力で治そうとしてもうまくはいきません。よほどの心因的なケースを除くと、自然治癒はなく、時間が解決してくれることもまずありません。

うつ病をそのままにしておくと、不眠や食欲不振に陥り、うつ病を悪化させる「負のスパイラル」に入ってしまうことがあります。うつ病を悪化させる前に、早めに医療機関を受診してください。

おすすめしたいのは精神科や心療内科ですが、抵抗があるという人は、かかりつけの医者や近所の内科に行って相談してみてください。

精神科領域に関しても、医者として一定の知識は持っていると思いますから、参考になる情報を得られるはずです。内科の先生から精神科の専門医を紹介してもらえる場合もあります。

会社員の人は、まず会社の健康相談室に相談してみるといいでしょう。うつ病になるサラリーマンが多いため、産業医や産業保健師はメンタルヘルスについてかなりの勉強をしています。

産業医から精神科を紹介してもらえば、産業医と専門医の連携も期待できますので、働く人にとっては好都合です。

いずれにしても、悪化させてしまう前に、早めに医療機関に相談することが大切です。

「うつ病は軽症のうちに治す」というのが、最もリスクが少なく、回復の見込める方法なのです。

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