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元CIAがこっそり明かしてくれた 投資に必要な「未来予測の技術」

菅下清廣(国際金融コンサルタント)

2014年08月25日 公開 2024年12月16日 更新

 

未来予測に必要な情報の集め方

未来予測の力を身につけるには、社会現象を読む力を磨かなければなりません。誤解されると困るのですが、金融・経済の知識はもちろんあったほうがいいに決まっています。

ただ、最も大事なのは社会現象の裏にある人間の心理を読むことです。それができてはじめて、未来を予測することができるようになるのです。

この方法については本書で詳しくご紹介していますが、社会現象や人間心理を読む力をつけるためには、情報の読み方、考え方を強化することが必要です。そのための「情報のレッスン」について、私の経験を簡単にお話ししましょう。   

大和証券の難波支店に配属された私が、相場の世界で生き残り、トップセールスマンになることを決意したことはお話ししました。

そのために、どのような行動をとればいいのか必死で考えます。気づいたのは、未来予測の力で秀でるための「情報のプロ」になるということでした。その日以来今日まで、私は役に立つ情報を見つける方法を突き詰めてきました。

そのファーストステップは、できるだけ広く浅くランダムに情報を集めることです。なぜランダムに集める必要があるのでしょうか。

金融・経済の世界にいる人は、えてして金融・経済の情報ばかりに触れようとします。そうすれば経済学者には近づくかもしれませんが、投資のプロにはなれません。どのような情報にもヒントがある。どのような情報にもチャンスが潜んでいる。

そうした「確信」を持っていることが重要です。ある1つの情報に触れたとき、最初の段階ではそれがいい情報なのか役に立たない情報なのか判断することはできません。だから、自分の能力の及ぶ限り、広く浅く情報網を張り巡らせ、手当たり次第に吸い上げていくというスタンスが重要になります。

こうお話しすると、多くの人が陥る「罠」があります。手当たり次第に吸い上げようとして、「週刊東洋経済」や「週刊ダイヤモンド」、「日本経済新聞」などを取り寄せ、それを隅から隅まで読もうとすることです。

それらの新聞や雑誌には、情報が満載されています。社会人としての最低限の知識として、知っておくべき情報が載っています。しかし、それを読んでいるだけでは、学校の教科書レベルの情報を得ることしかできません。しかも、仕事のかたわらそれらをすべて読んでいては、それだけで時間がなくなってしまいます。

未来予測の力の「素」となる情報を身につけるには、自分の人生を豊かにし、お金持ちになるための情報は何かということを常に意識しながら、それに役立つであろう情報を自分で見つけ、選ばなければなりません。

 

情報のショッピング

私がやっているのは、まずは書店めぐりです。暇さえあれば書店をのぞき、時間があれば古本屋まで行っています。昨今はそれにネットサーフィンも加わりました。書店をめぐりながら、ファッション、グルメ、旅行情報など幅広い情報をインプットするための本や雑誌に出合うべく、歩き回ります。

投資をするための情報だけであれば、ファッション誌やグルメ誌、旅行誌などは見る必要がありません。しかし、投資の根底には社会現象を読む、人間心理を読むということがあるので、さまざまなものに触手を伸ばすのです。

そのとき、半分は楽しみながら情報を集めていきます。好奇心のアンテナを最大限に伸ばして、気になったものはなんでも手に取ってみます。仕事と思って一生懸命やると義務感に駆られ、やがて苦しくなってしまいます。楽しみながら、虎視眈々と、人の気づいていない情報を探していくのです。

新聞を読むにしても、誰もが惹き付けられる大きな見出しに惑わされず、小さな見出しの中にも貴重な情報がある、という視点で読んでいきます。「情報をショッピングする」という感覚のもと、普通の人より幅広い情報を見る習慣をつけることが大切です。

地方紙を読むのも1つの方法です。出張や旅行で地方に行ったとき、その地方だけで出ている地方紙を買います。そこには全国紙には出ていない意外なコラムが載っていることがあります。

私は、『京都新聞』を定期購読しています。なぜなら、立命館の大学顧問を務めているので、京都のことを知りたいと思っているからです。東京の新聞には、京都のことはほとんど出ていません。京都のことを知りたいと思えば京都の新聞が一番です。おそらく、東京で『京都新聞』を定期購読している人は、それほど多くないのではないでしょうか。

いつも同じ新聞を読むばかりでなく、みんなの知らない情報を広く集めるためには、あまり人が読んでいない新聞を読むのも1つの方法です。

多くの情報に触れて、それを活かそうとしているうちに、情報に対する触覚が形成されるようになります。やがて自分にとって大事な情報がわかるようになり、情報に触れたときにインスピレーションが湧くようにもなります。

一朝一夕にできるものではありませんが、その気になれば誰にでもできる方法です。ポイントは、根気よく続けることで情報を蓄積できるかどうかなのです。

今、世の中の人々はどんなことに関心があって、どんな気分なのか。それはしばらく続きそうなのか、あるいはすぐに終わりそうなのか。日本だけではなく、アジアではどうか。世界ではどうか……。最初はぼんやりとしかわからなくても、そのうちにより鮮明に見えてくるはずです。あなたがショッピングした情報をもとに、楽しみながら予想してみてください。

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