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「自分はダメだ」と落ち込まない、他人から責められたときの対処法

2015年12月20日 公開

片田珠美(精神科医)

仕事や家事、育児などで失敗をして、周囲に迷惑をかけていると思ったとき。なかなか恋愛の相手が見つからないとき。長年連れ添った家族との関係にひびが入ったとき。練習したのに、スポーツや楽器で結果を出すことができなかったとき。そうしたときに、一時的に「自分はダメだ」と思ってしまうのは誰にでもあることです。しかし、そうした失敗や困難を後々まで引きずって、自分を責めずにはいられなくなると問題です。
精神科医の片田珠美さんは、新刊『自分を責めすにはいられない人』(PHP新書)で、そうした「罪悪感」の深層について解説し、日々の仕事やくらしが楽になるヒントを提示しています。今回は、本書の中から、他人に責められたときの対処法についてご紹介します。

 

「自分はダメだ」と落ち込む前に……

 他人から責められたとき、「自分はダメだ」と思いやすい。責められるだけの正当な根拠があることもあれば、ちゃんとした根拠もないのに責められることもあるだろう。あなたを少しでも向上させようとして親切心から責める人もいれば、あなたの心に罪悪感をかき立てるためだけに責める人もいるだろう。

 いずれにせよ、他人から責められたら、われわれはだいたい次の3つの形で反応することが多い。

A 自分が責められているという事実にも、責められている理由にもほとんど関心を向けない。少なくとも表面上はそういうふうにふるまう。これは、自分に投げつけられる非難や叱責を否認し、聞く耳持たずという姿勢を誇示するためであり、一種の防衛にほかならない。問題を直視することも、責任を引き受けることも、罪悪感を覚えることも拒否したいがゆえのふるまいであり、常にこういう反応をする人は、「自分はダメだ」と思わずにすむようだ。

B 他人から責められていることに耳を傾け、非難や叱責の対象になっている点については直したり改善したりして、現実適応のための努力をできるだけ積み重ねようとする。他人から責められていることが、日頃自分でも薄々気づいていることと一致していれば、より一層「自分はダメだ」と思うだろう。耳が痛いだろうが、核心をついている可能性が高い。

C 他人から非難されたことを真に受けて、強い罪悪感を覚え、「自分はダメだ」と自分を責め続ける。こういうふうになりやすいのは、何でも完璧にしないとダメという完璧主義にとりつかれている人である。場合によっては、正当な根拠がないにもかかわらず、あなたを責め続けて罪悪感をかき立てる人が周囲にいて、そのせいであなたが自責感にさいなまれるような場合もあるかもしれない。

 これら3つの反応の中で、当の本人が一番心穏やかでいられるのはAだろう。そもそも、罪悪感にさいなまれずにすむようにするための防衛メカニズムなので、当然かもしれない。ただし、他人の目には面の皮が厚い責任逃れの達人にしか見えないかもしれず、その結果さらに非難や叱責を受ける羽目になるかもしれない。そのため、長い目で見ると、本当に得かどうかは、はなはだ疑問である。

 本人が一番つらい思いをするのはCで、罪悪感や自責感があまりにも強くなると、ただ自分自身を責めるばかりで、これからどうすればいいのかに考えが及ばないかもしれない。場合によっては、何をやっても無駄だという無力感にさいなまれるかもしれない。

 なので、お勧めは真ん中のBということになる。忘れてはならないのは、非難や叱責の対象になっている点については改めなければならないが、必ずしも「自分はダメだ」と思う必要はないということだ。一層頑張らせようと善意から責める人は、ダメな点だけを具体的に指摘するはずで、あなたの能力や価値を全否定して、けなしたり軽蔑したりするようなことはしないはずだ。もし、そんなことをする人が周囲にいたら、あなたの心の中に罪悪感をかき立てようとしているのではないか、場合によってはあなたを傷つけようとしているのではないかと疑ってかかったほうがいい。

 いずれにせよ、まずは責められていることに正当な根拠があるのかどうか見きわめることが大切だ。100%正当とはいえないにせよ、それなりの根拠があることがわかったら、その現実を受け入れて、真摯に向き合うしかない。

 そういう場合、どうしても「自分はダメだ」という思いが募るが、自分のマイナス面ばかり見つめて沈み込んでしまってはいけない。成功しなければならない、他人を失望させてはいけない、何でもきちんとしなければならない……という完璧主義にとらわれている人ほど、他人から責められると落ち込みやすいので、要注意である。

 そんなところが自分にあるなと気づいたら、信頼できる人に話したほうがいい。一人で自分のマイナス面だけ見つめて、「だから自分はダメなんだ」などとクヨクヨと思い悩んでいても、堂々めぐりで、何の解決にもならないのだから。

 恥ずかしがらずに他の誰かに話すことによって、ダメな自分から少し距離を置けるし、気持ちも軽くなる。完璧主義者ほど、自分のダメな部分を見せたがらず、自分だけで抱え込んでしまうものだが、誰かに話してみて、そういう部分は多かれ少なかれ誰にでもあることがわかれば、何となく安心するはずだ。また、ダメな部分をあえて他人に見せておくことで、嫉妬されたり警戒されたりすることから身を守れるという防衛的な側面もあることを忘れてはならない。

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著者紹介

片田珠美(かただ・たまみ)

精神科医

広島県生まれ。精神科医。京都大学非常勤講師。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析的視点から分析。『無差別殺人の精神分析』(新潮選書)、『一億総ガキ社会』(光文社新書)、『一億総うつ社会』(ちくま新書)、『正義という名の凶器』(ベスト新書)、『他人を攻撃せずにはいられない人』(PHP新書)など著書多数。

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