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「核の戦国時代」に、どうする日本国憲法

2016年08月18日 公開

日高義樹

『「核の戦国時代」が始まる』まえがき より

 

ワシントン情報から読み解く世界大混乱の行方

太平洋戦争が終わる直前、30万という日本人を一度に殺傷したアメリカの原子爆弾。

日本の人々は爆弾が落とされた場所に慰霊碑を建て、平和を求める聖地として大切にしてきた。

2016年5月、その聖地をアメリカの現職大統領が訪れて祈りを捧げたことは、原爆がもたらす惨劇をいま一度、世界の人々にはっきり示した歴史的な出来事だと受け取られている。しかし、この日、アメリカ国防総省の最高首脳たちは、2020年以降におけるアメリカの核戦力の大規模な増強と高性能化を検討しはじめている。

第二次世界大戦後の世界を動かしてきたのは、アメリカをはじめとする核保有国である。現実の世界は、広島の原爆慰霊碑を訪れた大統領の言葉とは逆に、これから「核の戦国時代」とも言うべき、危険な時代を迎えようとしている。

北朝鮮は水爆の実験を実施したと噂されている。ロシアはアメリカとの核兵器制限交渉を事実上やめて、新しい核弾頭とミサイルの開発を行っている。

中国は保有核兵器については隠蔽しているが、合わせて1000発を超える大陸間弾道ミサイルや中長距離ミサイルを実戦配備している。この大量のミサイルが水爆を装備していることは当然である。

中国はアメリカやロシアを真似て、長距離爆撃機の開発を進めているが、搭載する水爆も多数つくっているはずである。

インドも新しいミサイルとミサイル潜水艦を建造し、核弾頭の開発と増強を行っている。

ハドソン研究所の中東専門家は、「経済封鎖を解かれたイランが核兵器開発に拍車をかけ、近い将来、核兵器保有国になることは確実だ」と述べている。

1989年11月、ベルリンの壁が崩壊した後、世界はアメリカの一人勝ち体制のもとで安定を続けてきた。ところがアメリカの力が急速に後退するとともに、世界は新たな対立と抗争の時代を迎えている。

地域大国のロシア、中国、イラン、インドが核兵器を「使える兵器」として増強し、核弾頭を搭載するミサイルの開発に力を入れている。北朝鮮は核保有国であることを誇示している。世界は「核の戦国時代」を迎えて、再び1960年代の核戦争の恐怖に直面しようとしている。

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著者紹介

日高義樹(ひだか・よしき)

ハドソン研究所首席研究員

1935年、名古屋市生まれ。東京大学英文学科卒業。1959年、NHKに入局。ワシントン特派員をかわきりに、ニューヨーク支局長、ワシントン支局長を歴任。その後NHKエンタープライズ・アメリカ代表を経て、理事待遇アメリカ総局長。審議委員を最後に、1992年退職。その後、ハーバード大学客員教授、ケネディスクール・タウブマン・センター諮問委員、ハドソン研究所首席研究員として、日米関係の将来に関する調査・研究の責任者を務める。1995年よりテレビ東京で「日高義樹のワシントンリポート」「ワシントンの日高義樹です」を合わせて199本制作。主な著書に、『アメリカの歴史的危機で円・ドルはどうなる』『アメリカはいつまで日本を守るか』(以上、徳間書店)、『資源世界大戦が始まった』『2020年 石油超大国になるアメリカ』(以上 ダイヤモンド社)、『帝国の終焉』『なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか』『アメリカの新・中国戦略を知らない日本人』『アメリカが日本に「昭和憲法」を与えた真相』『アメリカの大変化を知らない日本人』『「オバマの嘘」を知らない日本人』『中国、敗れたり』(以上、PHP研究所)など。

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