怒ることで組織は蘇る
2011年11月01日 公開 2023年01月18日 更新
ライバルがいたほうが強くなる
多くの場合問題なのはそこがはっきりしていないこと。どうせ怒るのだったら、職人さんのように人生の目標に対して怒りをぶつけたいものです。
イチロー選手が38歳にして11年も大リーグで成績を出し続けているのは、負けないぞという怒りを人生の目的に向かって保ち続けることができているからでしょう。
毎朝カレーを食べたり、もともと硬い体を毎日のストレッチで柔軟にしたり、夜中まで一人黙々とトレーニングしたり、プライベートはあまり知られていないけれど、周囲の誰もがストイックさに驚くと聞きます。
女子プロゴルファーの宮里藍選手も、米ツアーに参戦して6年目の2011年7月、通算7勝目を上げました。宮里選手のメンタルコーチであるピア・ニールソンは、トッププレーヤーの条件について「コミットメントの強さは選手によってばらつきがあるが、かつてのアニカ・ソレンスタム選手はそれが突き抜けていた。
試合で常にトップ10に入るとか賞金女王になるという具体的な目標と、ツアーを楽しむという2つの内面的パッションを持ち続けることができていたから」。
富里選手も、1977年に樋口久子選手が達成したメジャー制覇、87年に岡本綾子選手が輝いた賞金女王という大きな記録に対して、私も必ず獲ってやるわとか、負けないわとか、ある種の強い怒りを持ち続けられているから、うまくいっているのでしょう。
組織でも、例えばライバル心を煽らせるとか、怒りのエネルギーをうまく活用することが大切です。
ある大手の会社の人事部長さんとちょうどお酒を飲んだ時に、部下を2人張り合わせていると言っていましたが、それでいいと思います。やっぱりライバルがいて軽いストレスを与えたほうが人は伸びます。
職人さんやスポーツ選手は個人プレーをしているので、怒りのエネルギーを利用しやすいし、それが見えやすいと思います。ところが組織の場合、このエネルギーを利用するにあたって目的がはっきりしていないので、いろいろな方向に分散してしまっているのが問題です。
何をどうしたいか、優先順位がついていないとそれに対して達成ができません。 例えば、水道ホースから水を出す時に、絞って圧力を集中させたほうが水の出方が強くなります。
それと一緒で、怒りも漫然と出すとダラダラとしか出ませんが、ホースを絞って出してあげると力強くなります。より遠くまで飛びます。本来、怒りはニュートラルなものなのですが、それをどうやって活用するかでマイナスにもプラスにもなります。
多くの人がマイナスに使いがちなものを、ちゃんと自助を決めてそちらへ向けて放出してあげれば、組織を動かす推進力になるのです。