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生き方

「ムカッとくる怒り」がスーとおさまる方法

植西聰(心理カウンセラー)

2011年12月01日 公開 2022年12月28日 更新

植西聰

怒りは書いて忘れる

◎穏やかな上司の方が部下の成果はいい

人は、怒ると交感神経系が活発に働きます。すると、血圧が上昇して、心拍数が上昇し、心収縮力が上昇します。その結果、一時的に、頭の中に血液がたくさん集まった状態になり、耳や顔が赤くなります。

このため、怒っているときの状態を「頭に血がのぼった」と表現するのです。このような状態では、正しい判断能力は保てません。怒りながら重要な決断をしたり、仕事を進めようとしても、脳がうまく働かず、集中するのが難しくなるからです。

どこの会社にも、いつも誰かのミスに腹を立てて怒っているような上司がいるものです。この上司は、ミスをした部下のせいで、部署の仕事の効率が下がると思って怒っているのでしょう。

しかし、実際にはその上司自身も、怒ってばかりいることで仕事の能率を下げているのです。その証拠に、いつも誰かを怒鳴りちらしているような上司がトップの部署と、穏やかな性格の上司がトップの部署とでは、たいていの場合、後者のタイプの部署の方が、仕事の成果を出しているものです。

怒りという感情が持つマイナスのエネルギーは、怒っている本人、怒られている人、周りにいる人全員の心に波及し、マイナスのエネルギーを増やします。

つまり、いつも誰かを怒鳴る声が響いている部署では、職場全体がマイナスのエネルギーに包まれているのです。そんな状態では、部署全体の運気がどんどん下がってしまうでしょう。

自分が会社でいつも怒っているという人は、まず、怒ることがビジネスにとってはマイナスであるという自覚を持ちましょう。

そして、「あいつが悪い」と言う前に、自分自身の気持ちを冷静に保つための努力をしたほうがいいでしょう。それが大人の対応ではないでしょうか?

◎紙に怒りをぶつけて気持ちを鎮める

怒りを爆発させないためには、怒りが大きくなる前に、いったん心を落ち着かせることが大切です。そこで、効果があるのが「紙に書き出す」ということです。ポイントは、怒りを感じたその瞬間に、深く考えずに紙に書くことです。

人間は、過去の出来事を自分の都合のいいように解釈したり、格好よく脚色しようとします。

「自分は絶対に間違っていない」と無意識に自分を守ろうとするからです。そのため、時間が経ってからでは、いくら書いても気持ちを鎮める効果はなくなります。

怒りを感じた瞬間は、とりつくろう必要がないので、素直にそのときの気持ちや状態を書くことができるのです。書くことによってまず、時間を稼ぐという効果が得られます。怒りを相手にぶつけるのではなく、紙にぶつけるうち、気持ちは少しずつ落ち着いてくるものです。

すると、怒りを感じても、実際に相手に向かって怒るという行動には至らないということが増えていきます。また、それを読み返すことで、自分がどんな原因で怒りやすいのかがわかるようになります。

紙に書いて気持ちを吐き出すことで、自分の怒る原因やパターンがわかれば、感情をコントロールすることもできるようになります。

●ポイント 怒りを感じたら、素直のその瞬間の気持ちを紙に書き出してみましょう

 

【PROFILE】植西聰(著述家)

東京都出身。学習院高等科、同大学卒業後、資生堂に勤務。退職後、「心理学」「東洋哲学」「ニューソート」などに基づいた人生論の研究に従事。1986年、研究成果を体系化した『成心学』理論を確立し、著述・カウンセリング活動を開始。1995年、産業カウンセラー(労働大臣認定)を取得。他に、「知客識」(僧位)、「心理学博士」の名誉称号を持つ。現在は、著述を通して多くの人々に喜びを与えている。
著書に『「折れない心」をつくるたった1つの習慣』(青春新書)『運を引き寄せる宇宙の法則』(青春出版社)『「いいこと」がいっぱい起こる! ブッダの言葉』(王様文庫)『我欲を捨てるとうまくいく』(マイコミ新書)『今の幸せに満足できるたった1つの法則』(ロング新書)『神様は「感謝できる人」に味方する』(PHP研究所)など多数がある。

 

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