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「夫よ! 食器洗いぐらいでドヤ顔するな」になぜドキっとするのか?

川上徹也著(湘南ストーリーブランディング研究所代表、コピーライター)

2017年11月30日 公開 2022年06月07日 更新

「夫よ! 食器洗いぐらいでドヤ顔するな」になぜドキっとするのか?

※本記事は、川上徹也著『伝わる人は「1行」でツカむ』(PHP文庫)より、一部を抜粋編集したものです。
 

「自分の心の中の叫び」が代弁されている!

想像してみてください。もし「自分が心の中で思っていること」が、雑誌や本のタイトルになっていたり、見出しに書かれていたら、あなたはどう思うでしょう?

おそらく、その記事に関心を抱き、読んでみたくなるはずです。

このように、「相手が心の中で思っている本音(インサイト)」に訴えることは、自分に関係があると思ってもらいやすくなる手法のひとつです。

雑誌の見出しで「自分の心の中の叫び」が代弁されているのを見ると、自然と興味がわき、その記事を読んでみたくなるものです。

以下の記事はいずれも『AERA』の中吊り広告に書かれてあった特集のキャッチコピーです。

見本▼  夫よ! 食器洗いぐらいでドヤ顔するな
見本▼  ひとり好きだけど子どもは欲しい
見本▼  お墓はもういらない
見本▼  好きだけどできない
見本▼  過労死寸前なのは私だ

それぞれ、読者が本音で思っていそうな「心の中の声」を言語化することで、「自分に関係がある記事」であると思わせることに成功しています。そう思った人間は記事の中身を読みたくなるでしょう。
 

「本音」に寄り添った1行は共感を呼ぶ

以下の見本は、女性ファッション誌(『STORY』、『VERY』、『Domani』、『CanCam』)の表紙に書かれていたキャッチコピーです。

いずれも読者の「心の声」を言語化したものです。

見本▼  「今日着る服がわからない!」魂の叫びに愛の回答
見本▼  「どうしてもスキニーパンツがはけない!」対策委員会
見本▼  35歳 「おしゃれな体」と言われたい!
見本▼  2014年、〝黒髪〟で生きていく?〝茶髪〟で生きていく?

このような、受け手の「心の声」「本音」のことを、広告業界ではインサイトと呼んでいます。

おそらくこれらの女性誌の編集部では、想定読者にアンケートなどを実施して「今日着る服がわからない!」「どうしてもスキニーパンツがはけない!」「おしゃれな体と言われたい」「黒髪にするか茶髪にするか悩んでいる」というインサイトを発見したのでしょう。それがなければ、なかなか出てこない見出しです。

このように読み手のインサイトに寄り添った1行は読む人の共感を呼びます。

ビジネス文章でもこの手法を使うと「自分に関係がある」と思ってもらえる可能性が高まります。

そのためには、文章を書く時、「これを読む人はどんな風に思っているだろう」というインサイトを常に考える習慣を身につけましょう。

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