1. PHPオンライン
  2. 仕事
  3. 課長になれない人の特徴…その努力、残念ながら間違っている!

仕事

課長になれない人の特徴…その努力、残念ながら間違っている!

内山力(経営コンサルタント)

2012年01月18日 公開 2024年12月16日 更新

内山力

コミットメントがキーワード

もう1つの自らの仕事に対する誤解は、「いい仕事とは何か」ということです。「いい仕事」かどうかを判定するには“ものさし”が必要です。

この"ものさし"はスピードと品質の2つです。

前者の"スピード"ははっきりと目に見えます。「仕事が早く終わる」ということです。この「早く終わる」ことを、出世キャリアはまわりに見せつけることです。残業しないで終わったら、それが能力の証明と思うことです。

そのためにはあることをはっきりさせる必要があります。それは分担です。チームで仕事をやっていても、自らの仕事の分担をはっきりさせましょう。

これによって「自分の仕事が終わる」というゴールをはっきりさせることです。そうでないと、いつ帰ってよいかわかりません。

これは「仕事を任される」と表現してもよいものです。「仕事を任されない」と自分の仕事というものがありません。誰かの指示の下にやっている仕事です。いわば見習いです。

見習いなら「帰らせていただいてよろしいでしょうか?」ですが、一人前なら「自分の仕事は終わったので帰ります」です。この時、ヘルプがあれば話は別です。これについては次で述べます。

一人前なら自らの仕事をはっきりさせましょう。このことは企業も求めており、最近はこの「分担」のことを「コミットメント」〔*3〕と表現しています。コミットメントとは「自分がやると約束した仕事は、責任を持ってやり遂げよう」という気持ちを表した言葉です。

仕事が終わっていないのに「定時になったから帰ろう」というのではなく、コミットメントされた仕事をスピード感を持ってやり、「何としても定時までに終えよう」と努力することです。それが出世キャリアです。

コミットメントという言葉を社内で耳にしませんか? これを使っている人を見てください。きっと「仕事ができる人」、つまり出世キャリアの人でしょう。

私がクライアント企業でセミナーを行って、よく驚かれることがあります。それは時間どおりにぴったりと終えることです。セミナー講師によっては、時間延長する方がそのクライアントへのサービスと考えている人もいます。私は絶対に延長しません。

コミットメントされた仕事なのだから、限られた時間内でプロとして最高の品質を出すように心がけています。そしてそれがプロの証と思っています。

*3 約束という意味の英語であるが、ビジネスの世界では約束、責任、義務を一体化した意味で使っている。

 

品質とスピードの落とし所が勤務時間

もう1つの仕事の"ものさし"である品質についてはこう考えましょう。

品質とは仕事の「出来ばえ」のことです。仕事には、品質が求められる仕事と求められない仕事があります。

「品質が求められない仕事」とは、誰がやっても同じ結果になるものです。ここでの品質は、あえていえばミスだけです。

「品質が求められる仕事」とは、その人の能力によって結果が変わってくるものです。そして仕事の品質には満点というものはなく、上げようとすればキリがありません。

仕事の品質は高い方がいいに決まってます。しかしスピードとはトレードオフです。つまり品質を上げようとすれば時間がかかり、スピードを上げれば品質は落ちます。どこかに落とし所が必要です。

この目安が勤務時間であり、先ほど考えたように「できるだけ残業しない」が出世キャリアのポリシーです。

「品質が求められない仕事」はスピードを上げて、1秒でも早く終わらせます。それが終わっても、勤務時間内で余裕がある時は求められていない品質を上げます。

例えば、上司から「エクセルでこの表を作ってくれ」と言われたら、必ずその仕事の目的をヒアリングしておきます。そのうえでその仕事を1秒でも早く終わらせ、勤務時間内であればその目的を考えて、品質を上げるようにします。

その表が予算会議で使う資料なら、「エクセルで数字を並べるだけでなく、これをグラフにしよう。パワーポイントで説明するのだから、これを貼り付けて、アニメーションを使ってうまく表現しよう」というものです。

「品質が求められる仕事」であれば、仕事を始める前に上司に最低限の品質を確認しましょう。つまりどうすればこの仕事は合格するかです。こうなれば前の「品質を求められない仕事」と同じになります。

例えば「報告書を作る」という仕事なら、どのような項目か、何ページくらいか、どの報告書をお手本とするか、といった品質基準をはっきりさせます。そのうえで先ほどと同様に、勤務時間内で仕事の目的からその品質基準にプラスアルファが付けられないかを考えます。

「お手本でもらった前回の報告書は文章が長くて読みづらい。骨子は表にまとめた方がいい……」といった具合です。

 

関連記事

アクセスランキングRanking

前のスライド 次のスライド
×