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3年後に中国が日本の音楽市場を追い抜く。それは日本にとって好機でもある

山口哲一(エンターテック・エバンジェリスト/音楽プロデューサー)

2018年06月25日 公開 2022年08月22日 更新

政府の予想も覆すインバウンド需要の成長。そこで日本の音楽が果たせる役割

そこで、注目すべきは、日本におけるインバウンド市場の急成長です。

2017年には2,800万人の外国人が日本を訪れました。ここにきて日本政府は2020年の目標値を訪日客4,000万人、訪日客消費8兆円と掲げました。これは2年前に発表された目標を一気に2倍にまで引き上げた指標です。

日本の政府が目標や予測を出して、実態がそれを上回ることは極めて稀ではありませんか? 日本政府の読みを大きく上回る伸びをしているのが今のインバウンド市場なのです。

それであれば、僕らはアジアマーケットへの展開だけでなく、日本に来た外国人にも音楽を使ってビジネスをする時代になっていることも早急に考えるべきです。

日本が観光立国を目指す上で、何が必要か。それは、リピーターを増やすこと。滞在都市、滞在期間を増やすこと。これが観光業としての課題になると思いますが、これらを実現する上でエンタメ産業が果たす役割は大きいはずです。

例えば、ビジュアル系の聖地であるライブハウス、目黒鹿鳴館の隣に”ビジュアル系ミュージアム”を作るというアイデア。いわゆるビジュアル系アーティストアジアのみならず、ヨーロッパ等でも発信力を持っていますので、十分な集客効果が期待できます。

これまでも訪日客はすでに、アニメの”聖地巡礼”のようなことはしていると思いますが、これを音楽でも実現することを考えても良いのではないでしょうか?

ただひとつ課題があります。

アメリカは国としての歴史が浅いぶん、ミュージアムを積極的に企画し設立しています。

ニューオリオンズに行けば、州立博物館で、ルイ・アームストロングに始まり、マルサリス兄弟につながる、ジャズの本拠地を誇る展示がされています。

一方で日本人は強みを前面に押し出していくことが、あまり得意ではない印象です。気恥ずかしさを感じるのでしょう。

しかし、海外から日本を訪れる人にとって、明確に目指しやすい観光地を用意し、分かりやすくお金を落とせる名所を作っていくことが、今後、インバウンド市場を伸ばしていく上でのエンタメの重要な役割ではないでしょうか。

世界一のパッケージ市場を誇る日本では、CDショップも外国人向けの観光地です。日本のお土産には日本人アーティストのCDを買って帰ってもらいましょう。もちろん、レジ横にはCDプレイヤーも一緒に売らなければいけません。

値段は高いですが、ジャケットやブックレットにこだわって作られた日本の音楽パッケージは、外国人から見ると、珍しく、魅力的なお土産品になり得るのです。外国人観光客の視点を持つことは、日本の価値を再発見することにも繋がります。

 

※本記事は2018年4月に開催されたイベント「ニューミドルマンデイVol.3 「音楽未来予測」 ~テクノロジー革命が音楽ビジネスに与えるもの~」の内容を一部抜粋、再構成したものです。

関連サイト:ニューミドルマンコミュニティMeet Up Vol.3~世界中の配信サービスに直結!TuneCoreを使いこなそう~

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