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3年後に中国が日本の音楽市場を追い抜く。それは日本にとって好機でもある

山口哲一(エンターテック・エバンジェリスト/音楽プロデューサー)

2018年06月25日 公開 2022年08月22日 更新

アジア市場を活用すれば、日本の音楽市場は現在の2倍にまで成長する

中国に限っても、さらなる市場成長が大いに期待できます。

だとすれば、日本の音楽業界・レコード業界は、アジア市場全体のみにだけフォーカスして展開を考えれば、生き残っていく道があるのではないかと考えるのです。

日本のJ-POPやアニソンは、アジア市場において、まだ一定の優位性を持っています。アジア各国からの支持を受けているということです。
K-POPには及んでいない部分もありますが、日本の音楽の潜在的な力を考えれば、十分に影響力を持ち続けられています。

それぞれの国において、ポップスとはおおむねドメスティック中心で、タイならばタイ語、ベトナムはベトナム語、自国語の楽曲が(自国語ポップス)が市場のメインを占めます。

仮にアジアで、自国語市場がマーケットの50%と仮定すると、残り50%の音楽市場を欧米の楽曲、JPOP、KPOPなどがシェアを争うという状況になります。

仮に、日本以外のアジア各地域の音楽市場がさらに成長し、5年後にアジア音楽市場規模が現在の日本の5倍の規模、1兆5,000億円になると予想しましょう。

やや乱暴な計算ですが、日本の音源がそのうちの20%のシェアである3000億円をアジア市場から獲得できれば、日本国内の市場と足して、現在の2倍の6,000億円まで拡大します。

各国の残り50%のシェア争いのなかで、アジア各国でJPOPが欧米の楽曲、KPOPと五角以上に戦うことができれば、アジア全体の音楽市場における20%のシェアを獲得できるのです。

日本のポップスは長年の蓄積と、圧倒的な多様性を持っていて、楽曲の魅力、コンテンツ力としては十分に可能なチカラを持っています。これからの日本の音楽業界が目指すべき方向はアジアです。

ですので、私が日本のレコード会社の経営陣とお話する際には必ず、「これからアジア市場を攻めましょう」と伝えます。「具体的にどうすればいい?」 と聞き返されますので、こう答えます。

「全ての音楽配信ストリーミングサービスに許諾を出して、1年間その様子を見守る。配信された楽曲のうち最も再生回数の多いものを、地元の有名なアーティスト等にカバーしてもらえるように働きかける――」

ただそれだけでもヒットが生まれる可能性があります。アジア市場を獲得するためには、今すぐにできる、やるべきことです。

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