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生き方

「ホントにこれで大丈夫?」「どうなるか心配」不安と向き合うカギは「見える化」

関屋裕希(せきや・ゆき/臨床心理士)

2018年09月28日 公開 2019年08月09日 更新

不安が自分の能力や性格に関わる場合は、気持ちをだれかに受け止めてもらう

ここまで、「不安をカテゴリ分けして書き出して、見える化する」という方法を紹介してきましたが、この方法をすぐに使うのが難しいこともあります。それは、自分の能力や性格に関わる不安の場合です。たとえば、次のような不安。

「最新の技術や知識をもった後輩が入ってきた。仕事の面では助かっているけれど、自分はこのままでいいんだろうか。けど、今は仕事も忙しいし、余裕もない。またそのうち考えよう……」

人は、自分のことが一番よくわからないもの。こんな不安の場合、自分のマイナスなところにばかり目が向いていて、視野も狭くなってしまっています。

自分のマイナスなところに向き合うのって、だれだってツライ。ほかの場面以上に「なかったこと」にしてしまいがちです。けれど、不安は消えずに、モヤモヤは続きます。しかも、5年後、10年後にいよいよ手を打たなければならなくなったときには、時すでに遅し。手を打つ労力も倍増してしまいます。

こんなときは、だれかに話して、「それは不安だよね」「心配な気持ちになって当然だよ」と、不安な気持ちを受け止めてもらうことが、次のステップへ背中を押してくれます。人が話をするとき、その中には「事実」「考え」「気持ち」の3種類の情報が入っています。仕事を進めるうえでは、事実を知ってもらうことも、考えを理解してもらうことも大事です。

けれど、何より「気持ちをわかってもらえた」と感じたときに、人は意欲やエネルギーが湧いてくるものなのです。不安なときも、その気持ちを受け止めてもらえると、

「苦しいけど、ちょっと向き合ってみようかな」

と勇気がわいて、次に進むことができるようになります。
最初から、不安まるごとと向き合わなくても、大丈夫。まずは、不安な気持ちを感じている自分に気づくだけでも十分です。

「今の自分の知識と技術じゃ5年後についていけなくなっちゃうかもしれなくて不安」という気持ちがあることを受け止められるようになったら、少しずつ、先ほど紹介した「見える化」するステップに入っていけばいいのです。そこまでいけば、不安に向き合うことが怖かったときより、ずっと落ち着いた気持ちで毎日を過ごせるようになるはずです。

会話に含まれる3つの情報

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