大企業だけではない! 中小企業が続々とCSRを導入する理由
2018年11月29日 公開 2024年12月16日 更新
<<100年先を見据えて、永続性を保ちかつ時流を捉えた柔軟な企業経営の在り方を研究する"PHP「地域百年企業」経営者倶楽部"にて、元富士ゼロックス社長などを歴任し、現在は国連グローバルコンパクトのボードメンバーである有馬利男氏の講演が行われた。
有馬氏は今、世界の企業が続々と取り入れつつあるCSR(企業の社会的責任)について解説。単に利潤を追求するだけでは、企業としての永続性を確保できない状況であることを指摘した。本稿ではその一部を紹介する。>>
※本稿は2018年5月にPHP総研にて開催された"PHP「地域百年企業」経営者倶楽部 「百年の計の要諦を考える」"での講演の一部を抜粋・編集したものです
CSR経営のベースには「国連グローバル・コンパクト」の存在がある
企業が一番大事にすべきことは一体何でしょうか。お客様、従業員、株主、いずれも企業にとって大切なものです。しかし「一番大切なもの」となると、それは「事業が継続すること」。これについて経営の立場から考えていきたいと思います。
まずお話したいのは「国連グローバル・コンパクト」の存在です。これを抜きにCSR経営は語りにくい。
1999年、スイスのダボス会議で、世界のビジネス界のリーダーたちを前に、当時の国連事務総長コフィー・アナン氏がある問題提起をしました。冷戦崩壊後の世界をグローバリゼーションが覆い、経済や産業が成長しました。
しかし光の裏には影がつきもの。自然破壊や児童労働の問題が一例です。
こうしたグローバル企業のあり方について、コフィー・アナン氏は「人間の顔をしたグローバル市場を、企業経営者と国連が手を結み、一緒につくりましょう」と発言したのです。すなわち「経営そのものに社会的な視点を取り入れよう」ということです。
これを受けて2000年、国連で合意されたのが「国連グローバル・コンパクト」です。これは企業に対し、人権、労働、環境、腐敗防止に関する10の原則にコミットするよう求める内容です。
その2ヶ月後にできたのがMDGs(ミレニアム開発目標)。当時はほぼ全てが途上国の課題に関する目標でした。
そしてMDGsの役割が終わった2015年、新たに採択されたのがSDGs(持続可能な開発目標)でした。
途上国と先進国両方の課題をカバーされており、具体的には貧困、飢餓、健康、教育など17の目標と169のサブテーマからなります。いまCSR経営のベースになっているのも、これです。
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今や「サプライチェーン」も企業のステークホルダーに含まれている