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社会

世界中で横行するネット世論操作 現政府支持への誘導と批判者の攻撃

一田和樹(作家、元IT企業役員)

2018年12月05日 公開 2023年02月24日 更新

一田和樹

拡大するネット世論操作産業

世界で実施されているネット世論操作やその要素であるフェイクニュースはビジネスとして成立している。

似非民主主義の政府が資金と支援を提供し、金目当ての事業者や団体がフェイクニュースサイトやアカウントを運用、ボットネットとトロールを配備する。

政府や議員自らが差別や極端な政策を語り、メディアを規制する。そうした発言に寛容かつ肯定的な雰囲気を作り上げる。保守的傾向のある者が追随するあるいは、ネットでのせられた者が安易に追随する。

この仕組みがある程度動き出すと、なにも知らずに政府を支持、あるいは批判者を攻撃する発言がボットやトロールによって勝手に拡散され、アクセスも伸びるという現象が起こる。

サイトに広告を貼っていれば収入は増加する。味を占めて、同じ傾向の発言を繰り返すようになる。サイト運営者は誰がなんのために拡散しているかはあまり知らずに運営しているかもしれない。

その一方で政府自身が前出ネット世論操作4パターンにあった「政府扇動、支援」や「政府承認、支援」を行えば直接関係を持つことなく、国内に現政権を支持し、敵対する相手を攻撃してくれるサイトやアカウントが乱立するようになる。

これらのサイトやアカウントの言うことをまともに受け取って信じる人々も多数生まれる。このようにして、このエコシステムができあがると拡大を続け、それ以外の発言を押し流してゆくことになる。

たとえばインドネシアのサラセンというフェイクニュース・シンジケートはフェイスブックへの1回の投稿で7,500ドルを得ていたし、フィリピンでは2,600万ドルの政府予算と大統領の機密諜報費4,970万ドルが選挙期間中のネット世論操作にあてられた。日本の右派サイトとして有名な保守速報やアノニマスポストも広告収入を得ていた。

これらのことを考えると次のようなエコシステムが存在しているように思える。

・政府による「実行」 ボットやトロールの配置。政府もしくは関連組織(ネット世論操作の大本)がネット世論操作のためのボットやトロールを金で雇う。

・政府による「実行」もしくは委託した「外部」 フェイクニュースの流布。金で雇った人々がフェイクニュースを流し、拡散する。

・政府による「扇動、支援」と「承認、支援」 ネット世論操作を受け入れるように世論を誘導する。その結果として、草の根組織の増加。政府とは関係なく政府支持、敵対者批判などのサイトやアカウントが登場し、ボットやトロールがその内容を拡散し、広告収入を得られるようになる。その結果として間接的に政府が支援するサイトやアカウントが増加する。

これらと並行して既存メディアを無効化し、政府が掌握するメディアを浸透させる。海外に対して干渉する際は、そのためのメディアを作る。

ロシアの場合、世界に展開するRTとスプートニクというメディアがある他、対アメリカではニセの地方紙メディアを作っており、バルト三国でも同様にメディアを作っている。こうしたメディアを浸透させ、影響力を拡大する。

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