英語留学で第2外国語を絶対に学ぶべき理由
2018年12月20日 公開 2023年01月12日 更新
<<英語同時通訳かつ、スペイン語翻訳者のポリグロット(多言語話者)のタカ大丸氏。米国ニューヨーク州立大学ポツダム校と、イスラエルのテル・アヴィヴ大学で学んだ後、現在ではノバク・ジョコビッチ氏の書籍を自ら翻訳・プロデュースしベストセラーに押し上げるなど活躍を見せている。
しかし、自身の出自は最貧困家庭であり、DVの嵐に苦しめられ、血の滲むような日々を乗り越えて今があるという。同氏が自著『貧困脱出マニュアル』で、どん底から苦労を重ねトップ翻訳家に至った自身の体験が克明に記されている。
ここでは同書より、アメリカの大学での言語の壁、そして英語コンプレックスを乗り越えた自らの体験を描いた一節を紹介する。>>
※本稿はタカ大丸著『貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)より一部抜粋・編集したものです。
留学できるなら、絶対第二外国語を勉強しよう
私が米国に滞在したのはわずか1年半である。決して長い時間とは言えない。だが、渡米してしばらくすると、現地滞在期間と現地語運用能力は全く比例していないことに気付いた。要は、長くいても全然話せていない人が多いのだ。
さて、高校時代英語の勉強以外何もしていないに等しい私だったが、定期購読していた雑誌があった。『ビッグトゥモロー』である。
その中に、私の人生を大きく左右する記事があった。当時ソニー社長だった出井伸之氏のインタビューである。そのときの記事を発見したので、引用する。
「でもね、じつは語学の上達には秘策があるんだ。駐在員にはよく言っているんだが。それはフランス語を勉強したいなら、フランスに行っても英会話の学校に通うこと。そして英語を話したいなら、アメリカかイギリスに行って、フランス語の学校に入ること。語学の勉強で肝心なのは、日常的に会話することなんだ。だから、授業よりもいっしょに勉強してる仲間たちと何語でしゃべるのかが問題になる。フランス語でフランス語の学校に来ているのはほとんど日本人でしょう。その点、パリの英語学校には生粋のフランス人が来てるから、英語もフランス語も両方できるようになる」(『ビッグトゥモロー』1996年7月号)
全くの余談だが、私にとって自分がいっぱしの者になってこの雑誌の取材を受けるのがひとつの悲願だった。その前に廃刊となってしまい、未だに悔しくてならない。
この記事は、文字通り私のその後の人生の方向性をすべて変えた。この記事があったからこそ、私は米国の大学でスペイン語を学んだのだ。
英語圏に留学しても、英語がきちんと話せない人は本当に多い。私自身、そんな事例は現地でいやというほど見てきた。そういう人の共通点のひとつは「英語学校に通うこと」だ。
常識で考えればすぐわかるはずなのだが、北米の英語学校に米国人やカナダ人はいない。日本語学校に日本人がいないのと同じである。
そして、ほとんどの場合、英語学校に通う人たちは能力別に振り分けられ、ほぼ例外なく日本人は最底辺のクラスに入れられる。だからクラスメイトの大部分は日本人だったりする。
日本人ばかりの、しかも下のクラスということは英語力も全然大したことがないわけだ。そんなときに、「私は絶対に英語しか話さない。日本人から話しかけられても英語で返答する」と決意できるだろうか。断言するが、そんなの無理な相談である。