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グーグルに買収されたスタートアップ 知られざる「その後」

大熊希美(翻訳家)

2018年12月18日 公開 2018年12月19日 更新

リソースはあるが、方針はない。そこから始まったグーグルマップ

「グーグルはキーホールを買収してどうしようと考えているのか」。買収を発表した直後、キーホールのメンバー全員が疑問に思っていた。当時、グーグルは地図プロダクトを提供していなかったのだ。

そして入社してからもキーホールの面々はグーグルからチームの運営に関する方向性や方針について聞かされることはなかった。ジョンは入社後すぐにグーグルで開発VPを務めるウェイン・ロージングを含むリーダー陣とのミーティングに臨むが、そこでもキーホールの方針について明確な答えを得られることはなかった。

ただ、キーホールの新しい職場として割り当てられたグーグル本社、ビルディング41の一角のすぐ隣では、グーグルで地図サービスの開発に乗り出していた数名の社員が働いていた。

彼らは2004年6月、グーグルが買収したウェアツーテックのチーム(2名はグーグル本社、他2名は海外で仕事をしていた)と買収後に加わったグーグル社員2名で構成されていた。

グーグルのリーダー陣から明確な方向性や指示はなかったものの、キーホールはグーグルの既存チームと協力し、ブラウザで地図が見られるグーグルマップを開発することで合意する。

これが正式にローンチしたのは2005年2月のことだ。グーグルマップには3つの特徴があった。ブラウザから地図を素早く閲覧できること、衛星写真と空中写真のデータベースを備えていること、そして店舗や施設などを調べられる検索機能が付いていることだ。

グーグルマップはすぐに人気サービスとなり、グーグルはそれに続いてグーグルアースやストリートビュー、グラウンドトゥルースなどの地図関連プロジェクトに大胆に投資していく。

グーグルの地図事業を担うジオチームのリーダーとしてこれらの開発を率いていたのはジョン・ハンケだ。そしてジョン・ハンケの予算に上限はなく、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンはジオチームの必要とするリソースを無尽蔵に提供し続けた。

例えばストリートビューは、通行人目線で街の様子を撮影し、撮影画像を水平方向につなげ、そこから必要なデータを抽出して検索可能にするというものだったが、実現するには数億ドルのコストがかかると見込まれていた。

ストリートビューには街を撮影する専用車両と撮影画像を処理するソフトウェアを開発する必要があり、それが終わったのなら、今度は実際に世界中の何万キロに及ぶ道を撮影しなければならない。

けれど、グーグルはこのプロジェクトの遂行を承認する。そうして2009年には、ストリートビューの撮影車両は22カ国における1300万マイルを走破し、この機能はグーグルマップの人気機能の一つとなった。

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グーグルのミッションのために――新プロジェクトに桁外れに大きな予算を投入

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