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「年収1500万円の50代」が最も“お金がない”皮肉な現実

江上治

2019年03月19日 公開 2022年03月10日 更新

お金があれば、人生の選択肢も増える

私のクライアントのある人が語った、こんな名言がある。「貧乏人には孫も猫も寄りつかん」。孫がおじいちゃんのところに行くのは、お小遣いをくれるからだ。猫だって、エサをやらなければ噛みつく。歳をとってお金がなければ、悲しいかな、誰からも相手にされない状況が待っているのだ。

とはいえ、お金がないからといって、お金のために働くのもまた、不幸な人生だと私は思っている。若いときはいい。若い頃は元気もあり、子供の教育費など、お金がかかることも多い。多少無理をしても、働ける。だが65歳や70歳になって、お金がないから働かざるを得ないのは、見ていて本当に不幸だ。

だが、好きで働くなら違う。自分の得意なことを生かし、世の中に貢献してお金をもらうなら、これはもうお金の奴隷ではない。生きがいといっていい。プロローグで紹介した、まさに私のクライアントの年収1億円超の人たちの生き方でもある。

そもそも「65歳を過ぎても働くのは不幸」という考え方がおかしいのだ。かつて平均寿命が70代だった頃ならともかく、われわれは100歳時代を生きる世代だ。われわれ

が65歳になる頃には、定年だって70歳や75歳まで伸びているかもしれない。70歳、80歳でも働くのが当たり前になっていても、まったくおかしくない。

「そんな歳になっても、会社の奴隷として働くのは嫌だ」と思うなら、独立して収入を得られるスキルを身につければいい。いま50歳なら、65歳まで15年もある。その間、会社にいながら、スキルを磨けばいい。

いまいる会社が大会社であるほど、スキルを磨くチャンスはいくらでもある。肩書を使えば、人脈だっていくらでも増やせる。個人で何かするより、よほど有利な条件を持っているのだ。いまの職場で信用を築けば、それが独立後の大きな力にもなる。

私は20代の頃、取引先の銀行の頭取や副頭取とお会いし、いろいろとご教示いただいた。それがいまも大きな財産になっている。こうしたチャンスに出会えたのも、私が大手金融機関の社員という肩書を持っていたからだ。

会社で15年、虎視眈々とスキルを磨き、定年後、晴れて新たな働き方をすればいい。

逆に待ってほしいのが、将来が不安だからと、焦っておかしな話に飛びつくことだ。不動産投資で大家になれば、働かずしてお金が入ってくる。そんなうまい話に乗せられ、なけなしの貯金をはたいてマンションやアパートを買い、何千万円もの借金を背負う。そんなケースを、私は嫌になるほど見てきた。

老後が不安なら、まずはいまの仕事を着実にこなす。そのうえで定年後も収入を得るためのスキルを磨く。人生100年時代にあって、そんな長期的視野で今後を考えていただきたい。

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