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「大卒女性」より「高卒男性」が課長になれる日本企業の現実

2019年03月27日 公開

橘玲(たちばなあきら:作家)

学歴社会の原則が通用しない国、日本

なぜこんなことになるのか、その謎を解明したのが社会学者の山口一男さんです。

山口さんは、アメリカなど欧米の企業では、役職と学歴はリンクしているといいます。当然、管理職の比率は大卒が多く、高卒が少なくなります。これはアメリカだけでなく、世界じゅうがそうなっています。

学歴社会なのだから当たり前だと思うでしょうが、山口さんは世界にひとつだけ、この原則が通用しない国があることを発見しました。それが日本です。

日本の会社の特徴は、次の3つです。

【1】大卒の男性と、高卒の男性が課長になる割合は、40代半ばまではほとんど変わらない

【2】大卒の女性は高卒の女性より早く課長になるが、最終的にはその割合はあまり変わらない

【3】高卒の男性は、大卒の女性よりも、はるかに高い割合で課長になる

これをどう理解すればいいのでしょうか。

高卒の男性でも大卒の男性と同じように出世できるというのは、素晴らしいことです。日本の会社は学歴ではなく、社員一人ひとりの「能力」を見ているのですから。

高卒の女性より大卒の女性の方が出世が早い、というのも当然でしょう。

日本の会社では、新卒採用で女性を「総合職」と「一般職」に分けています。総合職は男性と平等に扱われる大卒エリートで、一般職は事務系の仕事ですから高卒も多いでしょう。それが同じ昇進では、いくらなんでも理不尽です。

問題なのは、大卒(総合職)の女性よりも、高卒の男性の方がはるかに早く課長に昇進することです。60歳時点では高卒男性の7割が課長以上になっているのに、大卒女性は2割強と半分にも満たないのです。

身分や性別のような生まれもった属性ではなく、学歴や資格、業績など個人の努力によって評価される社会が「近代」です。

そして近代的な社会では、このようなことが起こるはずはないと山口さんはいいます。日本の会社はいまだに「前近代」、すなわち江戸時代と同じようなことをやっているのです。

しかし山口さんは、これは単純な女性差別ではないといいます。ある要素を調整すると男女の格差はなくなって、大卒の女性も男性社員と同じように出世しているからです。

その要素とは「就業時間」です。

そんなバカな!と思うかもしれませんが、就業時間を揃えると大卒女性は男性社員と同じように昇進しているのです。驚くべきことに、日本の会社は残業時間で社員の昇進を決めているので
山口一男『働き方の男女不平等 理論と実証分析』日本経済新聞出版社)

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